2021年07月08日
by アース・ペット株式会社 |
公開:2021.07.08 20:40 更新:2021.10.04 16:23
「環境エンリッチメント」とは、人とともに暮らす動物(飼育動物、愛玩動物)の幸福で快適な暮らしを実現するために、動物福祉の立場から空間(インテリアなど)や食事方法などの生活環境を考えるという概念です。
環境エンリッチメントを考えることは、愛するワンちゃん、猫ちゃんの立場になって住環境などを見直すということでもあります。
もともと、環境エンリッチメント(environmental enrichment)は、動物園や水族館など野生の動物を飼育している場所で、飼育動物のストレスを軽減するために動物福祉の観点から考え出された概念です。
例えば、野生のアザラシは本来、水平方向だけではなく、垂直方向にも泳ぎます。
とすると、アザラシが暮らす水槽は、横だけではなく、縦も広いほうが環境エンリッチメントには適しています。
そこで、北海道旭川市旭山動物園は、アザラシ本来の動きのひとつである垂直方向への泳ぎができるようにした「マリンウェイ」という施設をあざらし館に作りました。
このように、本来、その動物はどのように動きたいのか、どのように暮らしたいのかを真剣に考えて実現していくのが環境エンリッチメントです。
環境エンリッチメントは大きく分けて以下の5つの要素があります。
1.空間
動物本来の行動に着目した住環境作りをすること
2.食事の摂り方
どの動物が本来、どのような環境で食事を摂っているかを考えて食事を与えること例えば、狩猟本能を満たした後に食事を与えることなどが考えられます。
3.社会
群れを作るなど、その動物本来の社会を家庭で実現すること
4.感覚
音、匂いなど五感に刺激を与えること
5.認知
思考動物が自分で考えて行動できるような環境作りをすること。オモチャなどは、環境エンリッチメントを考えたものも最近増えてきています。
ワンちゃんは長らく、人とともに、人の助けとなりながら暮らしてきました。
また、外で散歩をするので、室内での運動を考える必要はありません。
もっとも、ワンちゃんは古来より、穴ぐらのような狭くて暗い場所で寝ることを好んできました。
そこで、クレートなど落ち着ける場所を用意してあげましょう。
クレートの中で落ち着いて過ごせるよう日頃から慣れさせておくことは、災害時などにも役立ちます。
ワンちゃんは長らく、狩猟のおともとして「獲物の居場所を知らせる」役目を果たしてきたので、「飼い主様の命令に従って獲物を見つけること」を好みます。
そこで、ワンちゃんにおやつのにおいを嗅がせたうえでマテをさせて、おやつをワンちゃんから見えないところに隠したあとに「よし!」と言っておやつ(獲物)を探させる「かくれんぼ」をやってみてください。
ワンちゃんは長らく、リーダーが君臨する群れの中で生きてきました。
現在でも、ワンちゃんは家という群れを、絶対的なリーダーが統率する社会を望んでいます。
まずは、家の中のリーダーを決めてください。リーダーは、お父さんでも、お母さんでもかまいません。
例えば、お父さん、お母さん、子どもの3人家族だったら
お父さん(リーダー)→お母さん→子どもという上下関係があり、その下にワンちゃんという序列をしっかり決めましょう。そして、その序列をしっかり守らせます。
ここで、なんでもワンちゃんの希望を優先し、ワンちゃんに媚びてしまうと、その社会(家庭)のリーダーはワンちゃんになってしまいます。
リーダーという地位は、ワンちゃんに大きなストレスとなりますが、リーダー(お父さんでもお母さんでもいい)を決めて、序列をしっかり守らせることが犬の環境エンリッチメント。
これを崩すとワンちゃんが飼い主様の言うことをまったく聞かなくなり、飼い主様をかむなどの問題行動を起こすなどの権勢症候群(アルファシンドローム)につながります。
群れ社会で生きてきた犬には、決まりをしっかり守らせましょう。
嗅覚、視覚を刺激しつつ、「ワンちゃん自身に考えさせる」オモチャが多数販売されています。ワンちゃんが飽きない程度に、上手に取り入れてみましょう。
フードやおやつを入れる系がオススメです。
オモチャの穴の中におやつやフードを入れます。
ワンちゃんは、おやつを探して夢中で遊びます。おやつがオモチャの中にある、と探し当てる行動すべてが、感覚と認知を刺激するのです。
野生の猫ちゃんは、砂漠などで木の上に登って外敵から身を守ったり、獲物の品定めをしていたりしました。
そこで、上下運動ができるように、壁の高い位置を歩けるよう棚などの配置を工夫し、棚の上にはなるべく物を置かず、猫ちゃんが気持ちよく歩けるようにしましょう。
もちろん、キャットタワーの導入もおすすめです。
また、猫ちゃんはとてもキレイ好き。トイレは必ず、清潔を保ってあげましょう。
猫じゃらしやネズミのオモチャなどで遊んでみて、ものすごくのってくる野性味強めの猫ちゃんなら、狩りに成功した(オモチャをキャッチした)成果として、食事をあげるようにしてみましょう。
オモチャ遊びが普段からあまり好きではない猫ちゃんでしたら、普通に食事をあげてかまいません。
猫ちゃんは、ワンちゃんほど群れ意識が強くはありません。どちらかというと、個の結びつきを重んじます。
「権勢症候群」もないといわれています。
そこで、猫ちゃんが遊びたいと誘ってきたら、要望に応じて遊んであげてください。
猫ちゃんの感覚や認知を刺激するオモチャが、多く販売されています。それを取り入れてみましょう。
また、「猫ちゃんの想像とは逆の動きをして狩らせる」など、飼い主様のほうでも、猫ちゃんと競うようにオモチャを動かして、どんどん刺激してあげてください。
ホームセンターなどでも、猫ちゃんの感覚・認知を刺激するオモチャが販売されています。
シリコンのカバーを回して、穴から猫ちゃんお気に入りのおやつなどを入れます。
倒すと、起き上がりこぼしのように起き上がってくるので、猫ちゃんは飽きずに遊びます。
また、穴からおやつが出てくることを発見し、ますます夢中になるでしょう。
なお、「新聞を読んでいたら猫ちゃんが邪魔してのっかってきた」「パソコンのキーボードをたたいていたら猫ちゃんがそのうえに寝そべった」というのは、猫ちゃんの感覚的にはあたりまえのことです。
猫ちゃんは「自分が見ていてほしいときに」「自分だけを見つめてくれて」「自分が飽きるまで相手をしてくれる人」が大好きです。
猫ちゃんの要望に応じ続けたからといって、猫ちゃんがワンちゃんでいう「権勢症候群」に陥ることはほぼないといわれています。
むしろ、かまってもらえないことや、運動不足によってたまったストレスによる問題行動のほうが多いのです。
猫ちゃんが「邪魔してくる系」のいたずらは叱らないようにしましょう。
提供元:アース・ペット株式会社
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