2021年03月11日

長寿のお祝い|暮らしの歳時記~今さら聞けないマナーと常識~

by DCM株式会社

公開:2021.03.11 16:10 更新:2021.10.04 16:23

2020.12.15

9月の第3月曜日は敬老の日でした。長い経験と知恵を持つお年寄りを祝う日ですが、この気持ちはもちろん、敬老の日でなくても普段から忘れてはいけないものです。日本には昔から長寿を祝う節目の年齢がありました。人生100年時代と言われる昨今ですが、昔は40歳から長寿を祝い始めました。あらためて長寿のお祝いについておさらいしておきましょう。

敬老の日の始まり

兵庫県のある村の村長が、村のお年寄りを敬う「敬老会」を開いたのが始まりです。1966年に9月15日が「敬老の日」として国民の祝日に制定、2003年に第三月曜日に移行しました。また、この日は聖徳太子が大阪の四天王寺に身寄りのない老人や病人のために「悲田院」を設立したとも言われています。

長寿の祝いは中国から

元々は長寿の祝いは中国に古くから伝わる礼式でした。日本に伝来したのは奈良時代のことで、貴族を中心に行われたのが始まりです。江戸時代になると、祝われる本人自らが、紅で「寿」と書いた餅を親戚や周囲に配るなど、庶民の間でも広く親しまれる慣習となりました。平均寿命の短かったこの時代は、祝いの節目を迎えることが大きな喜びだったのです。

長寿のお祝い今・昔

昔は数え年の40歳から長寿を祝い始めました。祝い始めの40歳を「四十賀」または「五八賀(ごはちのが)」、以後五十賀、六十賀、七十賀、八十賀というように10年ごとに、健康で長生きできたことを大いに祝しました。ちなみに「五八賀」というのは「四は死に通じる」と嫌がって「五×八=四十」という語呂合わせに転じたものです。最近は寿命が延びたこともあり、数え61歳の「還暦」からを長寿の祝いとしています。しかし実際の60歳は老齢とはいえず、本人も祝われるのを嫌がる傾向にあるようです。

長寿の祝いとその由来

・還暦 61歳

昔の暦は1年ごとに干支の名前がついており、その十二支と十千(甲、乙など)の組み合わせで、60年で一巡します。61年目には生まれた年と同じ干支になるため。これを「暦が元に還る」還暦として祝います。

・古稀 70歳

中国の唐代の詩人、杜甫の詩「曲江」にある一節、「人生七十古来」稀からついた名前です。

・喜寿 77歳

「喜」という字を草書体にくずすと「㐂」になり、七十七と読めることから、こう呼ばれるようになりました。

・傘寿 80歳

「傘」の略字「仐」が「八十」と読めることに由来しています。

・米寿 88歳

「米」という字をバラバラにすると「八十八」となることから、「八十の人」を意味するという説もあります。

・卒寿 90歳

「卒」の略字「卆」を分解すると「九十」に読めるからです。

・白寿 99歳

「百」という字から「一」をとると、「白」という字になります。これを「百引く一は、九十九」になぞらえて、99歳のお祝いをさすようになりました。

・百賀 100歳

読んで字のごとく、百のお祝いです。101歳以上のお祝いは「皇寿の祝い」「珍寿の祝い」などと読んでいます。

現代では古稀か喜寿が祝い始め

還暦にあたる数え61歳(満60歳)は、現在はちょうど定年にあたります。大きな節目ではありますが、昔のように還暦を機に隠居するというようなことはなく、むしろ第2の人生のスタートと位置づけられています。実際、男女とも60歳といえば、まだ心身ともに壮健で、「長寿の祝い」と言われてもピンと来ない人も多いことでしょう。本人の希望がない場合は、還暦は特にお祝いしなくてもかまいません。現代では、本格的に祝うのは古稀または喜寿のころからというのが自然です。「長寿」を祝うというよりも、健康につつがなく節目を迎えられたお祝いと位置づけるほうが本人も喜ぶようです。

お祝いは家族を中心に

以前は本人または家族がお客様を招いてお祝いをしたものです。しかし、現在は子どもや孫が家族中心の祝宴を企画して本人を招くという形をとることが多いようです。祝宴の場合はホテルやレストランの個室など、落ち着いて歓談ができるところがよいでしょう。出席者に高齢の方が多い場合は、立食パーティーは避け、着席できるようにします。本人の体力が落ちていたり、健康を損ねている場合は、もちろん自宅で開いてもかまいません。本人の好物を中心にした手作りの食事や、ちょっとぜいたくな店の仕出しやお弁当を手配して、家族と楽しむのもいいでしょう。

みんなが集まることがなによりのお祝いに

祝う側は高価なお祝いの品を用意する必要はありません。本人にしてみれば自分のために子どもや孫が大勢集まり、元気な顔を見せてくれることがなによりの贈り物です。祝宴に出席する、あるいは長寿の祝いのために帰省することが一番喜ばれるでしょう。それでも何か記念品を贈呈したいなら皆で相談して一点豪華主義で贈るのがよいでしょう。健康状態が良好なら旅行や観劇などを計画するのもよいアイデアですし、少しまとまったお金をお小遣いとして贈るのもよいでしょう。

「日本の行事を楽しむ12ヶ月 くらしの歳時記」「伝統の作法と最新マナー冠婚葬祭常識事典」 (ともに主婦の友社刊)より

提供元:DCM株式会社

https://www.dcm-hc.co.jp/

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