家庭電器　冷蔵庫

1. 基本説明　

冷蔵庫とは

冷蔵庫は、冷蔵室・冷凍室のほかに野菜室。製氷室、チルド室などを備えており、野菜の新鮮保存、脱臭・除菌、急速冷凍など多様な機能を有しています。

デザインとしては、従来の片開きドアに加えて、大容量機種においては、観音開きタイプ（フレンチドア）が販売されております。

市場では従来の銅板仕上げのドアに替えて、高級感と光沢感を持たせた強化ガラス製のドアを付けた機種も販売されております。

用途・役割

食品の保存

冷蔵庫は食品を低温で保存することにより、保存期間を長くすることを目的としています。食品の腐敗は細菌の数が増えることで起こります。栄養豊富な食品は、細菌が繁殖する絶好の温床となります。食品は細菌の数が増えると腐敗しやすくなりますが、温度が低くなると細菌の繁殖活動は低下します。このことから、食品を冷蔵庫に入れて保存することは、食品を腐敗から守る一つの有効な方法といえます。

付加機能

① 自動製氷

給水タンクに水を入れ、冷蔵庫に給水タンクをセットするだけで氷が出来ます。また、貯水ケースに氷が一定量たまると、検氷レバーでそれを検知し自動的に製氷を停止いたします。

② 食品の乾燥防止

冷蔵室や野菜室は、冷却パネルを使った冷却により食品に直接風が当たらないようにして庫内を高湿度に保っています。そのため、ラップをかけなくても食品の乾燥は抑えられ、鮮度を保ったまま保存することが出来ます。

③ 除菌・脱臭

庫内の除菌・脱臭の方式をして、イオンを庫内に放出し雑菌やウイルスを制御したり脱臭する方式や、光媒体フィルターに発生されたＯＨラジカルで、循環する空気に含まれる雑菌やウイルスを制御したり脱臭する方式などがあります。

④ エチレンガスの抑制

野菜や果物は収穫後から熟成や老化が始まり、その過程でエチレンガスを発生させます。一般的に野菜や果物は、エチレンガスに触れると腐敗が促進されます。触媒を使ってエチレンガスやニオイ成分を炭酸ガスと水分子に分解して庫内の炭酸ガス濃度を高め、野菜の呼吸を抑制することにより鮮度や栄養素を保持するものがあります。また、イオンの働きによりエチレンガスの発生を抑制するものなどもあります。

⑤ 急速冷凍

熱いもの・冷凍食品を冷凍保存するとき、食品の水分が凍る最大氷結晶生成帯（-1℃～-5℃）を短時間で通過させることで氷の結晶の成長を抑えることができます。氷の結晶を大きく成長させないことで食品の細胞の破壊を抑え、解凍後でもうまみ成分の流出を少なくして、食感の変化を抑えることができます。なお、約-7℃で凍らせることにより、冷凍した食材を解凍せずすぐ使える （包丁で切れる）という機能を持つ製品も販売されております。

2. 各部の名称

省エネ技術の進歩

省エネ技術の進歩により、冷蔵庫の年間消費電力量は、10年前に比べ大幅に低減されています。

3. 冷蔵庫（冷却）の仕組み

冷却の仕組み

【冷凍サイクル】

「物質が液体から気体に変化するときに蒸発熱（気加熱）を奪う」（庫内から吸熱する）、また「気体から液体に変化するときに凝縮熱を排出する」（奪った熱を庫外に放熱する）という変化を連続させることにより、庫内を低温に保つのが冷蔵庫の冷える仕組みとなります。この繰り返しを「冷凍サイクル」といい、冷蔵庫では物質に冷媒を使用し連続して循環させています。図に示すように、気化した冷媒に圧力をかけて（圧縮）、その後に放熱させて液化（凝縮）させます。この液化した冷媒を減圧し蒸発しやすい状態にして、気化（蒸発）させることにより、再び熱を奪い取るという繰り返しを行っております。

各室の通常温度と保存食品

各室の保存に適した温度

・冷蔵室　約3℃〜5℃

・冷凍室　約-18℃

・野菜室　約5℃〜7℃

・チルド室　約0℃

4. 機能・特徴（種類）

直冷式

冷蔵室、冷凍室にそれぞれ独立した蒸発器（冷却器）を設けて、熱伝導と自然対流により冷却する方式。

A:冷凍室の壁面が直接、冷却器で構成されているので、素早く冷凍食品を冷やしたり、氷を作ることができるなど、効率的で電気代が安い。

B:霜取り時には、冷凍室（冷却器）から冷凍食品 を退避させなければいけない。

C:冷凍室と冷蔵室のどちらかの温度で圧縮機の運転を制御するため、冷凍室・冷蔵室の独立した細かな温度制御ができにくい。

間接冷却式

蒸発器（冷却器）で冷やされた冷気をファンで強制的に循環させ、冷蔵庫や冷凍室を冷却する方式となります。ファンで冷気を循環させますが、風路にダンパーを設置しその開閉により１つの冷却器で冷蔵室や冷凍室、野菜室など複数の室の温度を制御冷却することができます。ダンパーには、機械式のダンパーサーモと電動ダンパーがあります。多室の冷凍冷蔵庫では電動ダンパーの採用が増えております。図は、冷蔵庫の奥に蒸発器（冷却器）を設けた４ドア冷蔵庫の仕組みとなります。

間接冷却方式の特徴は、次のとおりとなります。

A: 圧縮機の運転時間を積算し、自動的に霜取り運転に切り替わります。冷却器は冷凍室や冷蔵室の壁で仕切られており、霜取り時にヒーターで冷却器を温めても冷凍食品が解ける心配はなく、冷凍食品を退避させる必要はありません。

B: 冷凍室の温度を検知し圧縮機の運転を制御します。 冷蔵室の温度は、ダンパーなどによって冷気の吹き出し量を調整しますので、冷凍室と冷蔵室を独立した温度に制御することができます。間接冷却方式には、1つの冷却器で冷蔵室、冷凍室を温度制御するシングル冷却方式と、冷蔵室・冷凍室それぞれ専用の冷却器を設けたツイン冷却方式（ダブル冷却方式）があります。

インバーター制御

従来の冷蔵庫は、扉の開閉や周囲温度の変動による庫内の温度変動に対して圧縮機をＯＮ/ ＯＦＦさせて、庫内の温度を一定に保つように制御していました。最近の冷蔵庫はインバーター制御されているものが多くあります。インバーター制御は、庫内の温度変動に対して圧縮機やファンモーターの回転数を制御します。きめ細かい運転ができますので、省エネ効果が高くなります。

霜取り

運転中の冷却器には、庫内の空気や食品から奪われた水分が霜となって付着します。霜が冷却器に付着すると、霜が冷気を遮断し冷却効率が悪くなるため、定期的に霜を取る必要があります。霜取り方式はヒーター加熱式であり、冷却動作停止時に自動的に除霜が行われます。ヒーター 加熱式とは、冷却器に取り付けてあるヒーターに通電して霜を溶かす方式。霜取り運転はスタートすると圧縮機と送風ファンは、運転を停止してヒーターに通電して霜を溶かします。冷却器の表面温度をセンサーで監視しており、冷却器の温度は設定温度に到達すると霜取りを終了し通常運転に復帰します。

真空断熱材

真空断熱材や連通ウレタンの芯材をフィルムで包み、フィルム内を真空状態 にして密封・パネル化したもので、従来の断熱材に比べて非常に高い断熱性能を有しており、熱伝導率は従来から使われてきたウレタンフォームの約1/20倍となります。

5. 選び方

容量の目安

容量はご家族の人数を元に算出できます。

（※容量は目安です）

70L×ご家族の人数+100L（常備食材）+70L（予備スペース）＝容量※

サイズの目安

設置する場所のサイズを確認しましょう

①搬入時

搬入経路を通れる大きさか確認する。

②設置時

設置場所とコンセントの位置を確認する。

③側面

左右5cm以上の空きを確保する。

省エネ機能

省エネ性能が高いと電気代が安くなります。

6. 使い方

食品の入れ方

ポリ袋やラップに包むか、密閉容器に入れる

・におい移りや乾燥を防ぎます。

・かんきつ類は、精油成分で庫内のプラスチック部分が変質することがあります。

・塩分の多い食品は、さびなどの原因になります。

ドアの開閉は手際よくする

・ドアを長い間開けたままにすると、庫内の冷えが悪くなったり、冷凍室内に霜が付く原因になります。

熱いものは、常温で冷ましてから入れる

・ほかの食品に悪い影響を与え、故障の原因にもなります。

つめこみ過ぎない

・冷気の通るすき間を開けてください。つめこみ過ぎると冷えが悪くなります。

冷蔵庫での保存に向かないもの

・バナナなどのトロピカルフルーツを冷やすと変質することがあります。冷やす場合は、食べる直前に冷やしてください。

・さつまいも・さといもなどは、冷やすと腐敗の原因になります。

・その他の野菜・くだものなどでも、冷やすと風味が落ちるものがあります。食べる直前（2～３時間前）に冷蔵庫に入れるなど、適切に使用してください。

・卵パックがドアポケットに入らない場合は、ガラス棚に置いて、保存してください。

・クリアケースは水平に引き出して使用してください。傾けて引き出すとガラス棚に当たり、棚や食品が動くことがあります。

<冷蔵庫の食品凍結を防ぐために>

・通常は温度調節つまみを（３～４）に設定してください。

・水気の多い食品や缶・びんなどは、奥の冷気吹き出し口から離してください。

<冷凍庫使用の注意>

・炭酸飲料を入れないでください。破裂して庫内をよごす原因になります。

※ドアに食品がはさまると、庫内が十分に冷えません。

省エネのための使い方

省エネのための上手な使い方として、各社カタログには以下の記載を行っています。

①ドアの開閉は、少なく、手早く。開閉が多いと冷気が逃げてむだになる。

② 食品の詰め過ぎには禁物。食品を詰め過ぎると冷気の流れが悪くなり、庫内が 均一に冷えてないばかりでなく、余分な電気を消費する。適当に隙間をあけること。

③熱いものは冷ましてから

熱いものを入れると、庫内温度が上昇し、周りの食品温度も上げてしまうため。

④冷蔵庫の周囲に適当な隙間をあける。

周囲に隙間がほとんどない状態で設置すると、放熱ができず電気のむだになる。

7. 設置上の注意

次のような場所に設置してください。

水平で丈夫な床の上

・不安定な場所への設置は、振動や騒音の原因になります。

・熱による変形や変化の防止のため、じゅうたん・たたみ・塩化ビニル樹脂の床には保護用の板を敷いてください。

直射日光や暖房機器の熱の当たらないところ風通しの良いところ

・冷却能力の低下を防ぐため、風通しを良くして放熱してください。

・周囲から図の距離を空けてください。

・右側は、ドアが必要十分に開くようにスペースをとってください。（５㎝以上）

・右側に壁がある場合は、31㎝以上開けてください。お手入れのとき棚が取り出せません。

ラジオやテレビから離れたところ

・ラジオやテレビにノイズが入ることがあります。

電源プラグが掃除しやすいところ

・電源プラグのほこりは定期的に取ってください。

湿気の少ないところ

腐食性ガスの発生しないところ

・配管が劣化・破損すると、冷媒もれの原因になります。

8. お手入れ

外側・冷蔵庫室内

・よく絞ったふきんで拭きます。汚れが取れにくいときは、薄めた台所用洗剤を含ませた柔らかい布で拭いた後、洗剤分が残らないようにかたく絞った布などで水拭きしてください。

ガラス棚・ドアポケット・クリアケース

・よく絞ったふきんで拭くか、取り外して水洗いすします。

・洗った後、よく乾かしてから取り付けてください。

冷凍室内に霜が付いたときは

電源コードを抜き、ドアを開け放しにして霜を溶かし、乾いた布で拭き取る。

・あらかじめ食品は取り出しておいてください。

・クリアケースにたまった水を捨ててください。

・床に水がこぼれる場合があるため、タオル等で水漏れ対策をしてください。

※ナイフなどの鋭利なもので無理に霜を取らないでください。故障の原因になります。

ほこりなどの汚れを取り除く

・年に１度は冷蔵庫を動かして、ほこりなどを取り除いてください。

・背面カバー、蒸発皿を取り外して水を捨て、汚れを取り除きます。

・汚れが取りにくいときは、水洗いまたは中性洗剤で洗い、よく流してください。

・洗った後、よく乾かしてから取り付けてください。

※背面の機械部分には触れないでください。運転中・停止直後は高温のためやけどのおそれがあります。

庫内灯の交換

・庫内灯が切れたときは、サービスパーツをお求めになり、交換してください。

・温度調節つまみを0にして、電源プラグを抜いてから交換してください。

<交換手順の例>

①庫内灯カバーのネジを外し、庫内カバーを外す。

②古い庫内灯を外し、新しい庫内灯を取り付ける。

③庫内灯カバーを取り付け、ねじを締める。

冷蔵庫用ランプ：110V 0.5W LED

9. 移動・運搬

①庫内の食品、飲料などを全て取り出す。

※故障の原因になるので、横積みはしないでください。

この冷凍冷蔵庫の電源は50/60Hz共用です。周波数の切り替えは必要ありません。

②調節脚を回して浮かせ、転倒防止ベルトを外す。

③電源プラグを抜き、アース線を取り出す。

④蒸発皿の水を捨てる。

・背面カバーを取り外してから蒸発皿を取り外し、水を捨てて再度取り付けてください。

⑤2人以上で、前面下部の調節脚と背面上部の転倒防止ベルト取り付け部を持って運ぶ。

10. Q&A

Q.冷媒はノンフロンですか？何を使ってますか？

冷凍庫（フリーザー）性能について

記号によって表示。

記号ごとの冷凍室の性能は性能はJIS C 9607：2015に規定された試験条件で試験したときの冷凍負荷温度（食品温度）が下記の表のようになるものをいいます。

A.フロンは使用しておりません｡全てノンフロン(代替フロン)になります｡冷媒の種類は､冷媒　R600a(全機種共通)になります｡

商品紹介

ノンフロン冷凍冷蔵庫 162L　AF162-W

【商品仕様】

●ノンフロン冷凍冷蔵庫

●定期内容積　【全体】162L【冷蔵室】100L　【冷凍室】62L　

●サイズ(約):幅474mm×奥行535mm×高さ1496mm

●質量:約40kg

●電源コード長さ:約1.8m

●電源:AC100V(50/60Hz)

ノンフロン冷凍冷蔵庫 156L　AF156-WE

【商品仕様】

●ノンフロン冷凍冷蔵庫

●定格内容積【全体】156L【冷蔵室】111L〈96L〉うちフリートレー〈17L〉【冷凍室】45L〈32L〉　

●サイズ(約):幅480mm×奥行595mm×高さ1.266mm

●重量:約45kg

●電源コード長さ:約1.9m

●電源:AC100V(50/60Hz)

ノンフロン冷凍冷蔵庫 231L　IRSN-23A-S

【商品仕様】

●ノンフロン冷凍冷蔵庫

●定期内容積【全体】231L【冷蔵室】161L【冷凍室】70L

●商品サイズ（cm）：幅約545mm×奥行約591mm×高さ約1.700ｍｍ

●質量：約51kg

●年間消費電力：326kWh/年

●定格電圧：AC100V

●定格周波数：50/60Hz

●定格消費電力：電動機：65/68W、電熱装置：200W

●電源コード長さ：1.8m