2021年10月01日

〈テントの種類と選び方〉テントの素材

by キャプテンスタッグ株式会社

公開:2021.10.01 12:40 更新:2021.11.29 08:35

テントは主に「フライ(外側の生地)」「インナー」「フロア」「ポール」で構成されています。フライ(外側の生地)は耐水性・耐紫外線・強度に影響します。インナーやフロアの素材は夜露や湿気などの防水性に影響します。ポールの素材は重量や強度に影響します。

それぞれの素材の特徴をご紹介していきます。

テントの生地

ナイロン

強度の高い素材としてテントのインナー部によく使われています。

〈強度〉

引っ張り強度はポリエステルより強く、キズ等でのダメージはポリエステルに次ぐ強さを持つ。ただし、高温の熱には他に比べ極端に弱い。

〈耐候性〉

紫外線等に弱く、変色や劣化しやすい。そのため、テント生地には加工が施されている。

〈耐水性〉

天然繊維に比べて耐水性は高いが、水を含むと若干強度が弱くなる。

ナイロンタフタ:高い水圧に耐えらえるよう、細番手の糸を使った平織り地。キズが目立ちやすい。

リップストップ ・ナイロン(*):平織り地に格子状のウネを作る織り方。タフタに比べ強度が高く、引裂きキズをウネによって遮断する。

ポリエステル

強度が高く、耐水性に富む。テントではフライシートによく使われています。

*染色が難しい素材でもある。

〈強度〉

合成繊維の中で、最も強度が高いといわれるが、引っ張り強度等はナイロンに劣る。熱にはナイロンより強いが、

天然繊維に比べ弱い。

〈耐候性〉

紫外線等に強く、ナイロンや綿に比べ変色や劣化が少ない。

〈耐水性〉

水を吸収しないため、耐水性は良いが、通気性が悪く、雨の日などは内部が蒸れる。

コットン

通気性が良く、テント生地にも使用されます。

〈強度〉

合成繊維に比べ熱に強く、水を含むと強度が増す。また、通気性に富む反面、害虫などがつきやすく、水分によって生地が縮む。湿ったままにするとカビが発生するなど、メンテナンスが難しい。

〈耐候性〉

紫外線等での影響は少ない。

〈耐水性〉

水を含むと糸が膨張し、隙間を埋めることで防水効果が上がるが、ナイロン等より劣る。

ポリ塩化ビニール(PVC)

水や湿気に強いが、引張りやキズには弱い。テントのボトムによく使われます。

〈強度〉

合成繊維の中では弱く、テンションのかかるような箇所には使用できない。熱や、化学薬品などに対しては強い。

〈耐候性〉

紫外線の影響を受けても変化はない。

〈耐水性〉

水分を吸収しないため、湿気や水分による強度の変化はないが、通気性は極端に悪い。

ゴアテックス

水分を吸収しないプラスチックのような素材をフィルム状に薄くのばしたものを、ナイロンなどの繊維と付け合わせた透湿防水素材です。

〈強度〉

合成繊維に劣らぬ強度をもち、引っ張りなどに特に強い。

〈耐候性〉

紫外線の影響はつけ合わせる繊維によって違う。

〈耐水性〉

防水性は抜群。縫製時に開く針穴はシームレス加工によって解決する。

ポリエチレン(PEクロス)

レジャーシート等に使われる素材。テントではスカート部、グランドシートに使用されます。

〈強度〉

引っ張り強度には優れているが、熱、キズに弱い。

〈耐候性〉

紫外線での影響は少ない。

〈耐水性〉

水分を吸収しないため、湿気や水分による強度の変化はないが、通気性は極端に悪い。縫製部をシームレス加工できないため、つなぎ合わせる場合にウェルダー(溶着)加工を施しているものもある。

テントポールの材質

スチール

強度が高く、キャビンテント・タープ等のポールに使われている。他金属に比べ重く、サビ・変色といった欠点がある。

グラスファイバー

ガラス繊維ででき、天然の木に最も近い弾性を持つ素材。ドームテントのポールに使用される。アルミ合金に比べ重く、折れやすいといった欠点がある。

アルミニウム合金

アルミニウムに他元素を合わせて、軽い性質を生かしつつ柔らかく、強度に劣るという欠点を補った素材。ドームテントのポールに多く使用される。

ジュラルミンが一般的で、6000系、7000系が多く使われ、強度・弾性が高く、軽い。数字が増すに従って強度は増すが、弾性は劣る。塩分などに弱く、耐食性に劣るという欠点は、アルマイト加工などの加工技術により解決している。スチール・グラスファイバーなどに比べ価格が高い。

*ジュラルミン:アルミニウムに銅、マグネシウム、マンガン等を加えた合金

テントの防水性

気象条件が変わりやすく、雨の多い日本ではテントの防水性は重要です。

防水性試験の方法と表示

テントの生地に直径10インチの筒をあて、水を入れて圧力をかけていき、水が約70〜80%浸透した時の水位をmmで表示している。

例)1000mm防水:上記試験方法にて、筒の中の水位が1mの高さになった時、70〜80%の浸透が確認されたということ。

防水加工

〈通気性撥水加工〉

フッ素系、シリコン系などの加工を施し、通気性と撥水性を持たせているもの。インナーテントの加工に多く用いられる。

〈不通気性防水加工、コーティング加工〉

ポリウレタン系に代表される防水加工。フライ、グランドシートの加工に多く用いられる。防水効果は高いが、通気性はないため、インナーテントのウォールに用いられる場合などは、メッシュ窓等が装備されるのが一般的。

〈シルバーコーティング〉

アルミを粉末にし蒸着させる加工法。フライの加工に用いられる。

*PU=ポリウレタン / *PVC=ポリ塩化ビニール

提供元:キャプテンスタッグ株式会社

https://www.captainstag.net/

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