暖房器具　石油ファンヒーター

1.石油ファンヒーターとは

概要・歴史

1971年、当時のストーブといえば、芯を灯油に浸して燃焼させる芯式が中心でした。そんな中、ダイニチ工業が業務用石油ストーブを開発、製造販売を開始しました。

青く透明な炎で燃え、すすやニオイが出にくく、煙突が不要なこのストーブは画期的な商品として大きな注目を集めました。

その後、1978年に家庭用石油ファンヒーターが登場し、多くの石油機器メーカーや大手家電メーカー各社が参入しました。初めて石油ファンヒーターが登場してから約半世紀経ちますが、形や機能を変えて発展を続けており、冬には欠かせない暖房機として現在もなお、活躍し続けています。

メリット

・お部屋全体を暖めることができる暖房機です。

・ハイパワーな温風で足元からすばやく暖めます。

・設置工事等は不要ですので、ご購入後すぐにご使用いただけます。(FF式を除く)

・持ち運びができるので、お好きなお部屋でご使用いただけます。

・燃焼することで空気中の酸素と化合し水分を放出する為、加湿効果があります。

デメリット

・燃焼開始時と終了時に若干灯油のニオイが発生します。

・灯油を給油する必要があります。

・電気代と灯油代がかかります。

2.各部の名称

・炎確認窓：炎の燃焼状態を確認することができます。

・気密油タンク（カートリッジタンク）：灯油を給油する持ち運びができるタンクです。

・口金：カートリッジタンクに蓋をし、且つ、カートリッジタンク内の灯油を油受皿に供給する為の部品です。

・油フィルター：油受皿内に水やゴミが混入しないようにする為のフィルターです。

・油受皿：カートリッジタンク内から供給された、燃料となる灯油を溜める部分です。

・燃焼・温風空気取入口（ファンカバー）：本体内部へほこりが混入するのを防ぎます。

・気密油タンクの給油時消火装置：タンクを抜いた状態では燃焼できないようにする（消火する）安全装置です。

・室温センサー：室内の温度を測定するセンサーです。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

3.石油ファンヒーターの種類

一般社団法人日本ガス石油機器工業会　JIS規格より

【家庭用石油ファンヒーター】

強制通気形開放式石油ストーブのうち、温風を前に吹き出すタイプのもののことです。

強制通気形開放式とは、ファンなどを用いて室内の空気を使って燃焼、燃焼排ガスをそのまま室内へ放出する方式です。

【ＦＦ式】

強制給排気形密閉式石油ストーブのことです。強制給排気形密閉式とは、ファンなどを用いて屋外の空気を使って燃焼、燃焼排ガスを屋外へ放出する方式です。煙突などを屋外に出して給排気を行います。

【業務用石油ファンヒーター】

強制通気形開放式石油ストーブの中で、家庭用ではないもののことです。

4.燃焼における方式

ブンゼン式

気化器内で灯油を加熱し、気化ガスをノズルから噴出してバーナで燃焼させる方式です。

着火スピードが速いうえ、ニオイの元となる気化ガスを瞬時に遮断でき、消火時のニオイが少ないのが特徴です。

油圧送霧化式

熱せられた気化筒に空気と灯油をファンやポンプで送り、気化混合ガスを上部のバーナで燃焼する方式です。

燃焼音がやわらかいのが特徴で、運転中の消費電力も少なくなっております。

ポット式

マットの敷かれた蒸発皿に油を垂らし、ヒーターで直接加熱・点火する方式です。

消費電力が少ないのが特徴となります。

5.選び方

1.暖まりの速さ

お部屋を早く暖める為には、着火スピードが重要です。

（※ダイニチ製石油ファンヒーターは、保温なし・ボタンひとつで35秒着火で業界最速です。）

加えて、ターボ機能などを搭載した商品も販売されており、さらに早くお部屋を暖めることができます。また、お使いいただくお部屋に対してひと回り大きい能力の商品をお選びいただくことで、より早くお部屋を暖めることができ、快適にお過ごしいただけます。

2.ニオイの少なさ

着火時と消火時に独特な灯油のニオイが発生しますが、このニオイを少なくすることで快適にお使いいただけます。中でも、特許取得の技術を搭載した商品は特にニオイが少なく、より快適にお使いいただけます。

3.給油の手間

面倒な給油作業ですが、タンクの容量を大きくすることで給油回数が減るだけでなく、灯油が長持ちします。家庭用石油ファンヒーターで最も大きなタンクは9Lタンクです。灯油保管用の18Lポリタンクがぴったり2回で使い切れる大きさですので、灯油を買いに行くタイミングがわかりやすくなっています。

6.使用する前に

使用する場所

・効果的にご使用いただくためには、外気に接する窓の下や壁側に設置してください。

・熱に弱い材質の床面(カーペット、木質床、畳など)で長時間使用しますと、温風により変色・ひび割れ・反り返りなどが発生することがありますので、保護のためにマットなどを敷いてご使用ください。

・前方にソファーなどの障害物がありますと温風の循環を妨げますので、ご注意ください。

使用できない場所

火災や予想しない事故の原因になりますので、以下の場所では使用しないでください。

・風のあたる場所、部屋の出入口、屋外、ほこり・湿気・金属粉の多い場所

・不安定な物をのせた棚などの下

・水平ではない場所、不安定な場所、振動の激しい場所

・人のいない場所、人が暖まる目的以外の場所(温室、飼育室など)

・可燃性ガスの発生する場所、または可燃性ガスがたまる場所

・窓の凍結などのため、換気が十分に行えない場所

・暖炉や押し入れなど、ファンヒーターが囲われる場所

・直射日光のあたる場所

・理容院、美容院、クリーニング店、はんだ付け作業所、メッキや塗装工場などスプレーや化学薬品を使う場所

・高地設定のない商品は、標高1,000ｍまたは1,300ｍ以上の高地　

・高地設定のある商品は、標高1,500ｍ以上の高地

※それぞれ商品により異なりますので、各商品の取扱説明書をご確認ください。

不良灯油に関して

不良灯油とは変質灯油・不純灯油のことです。

【変質灯油】

昨シーズンよりの持ち越し、温度の高い場所での保管、日光のあたる場所での保管、乳白色のポリタンク(水用)での保管、容器のふたが開けてあった状態での保管などの要因により、変色・変質した灯油のことです。

【不純灯油】

灯油以外のもの(水、ごみ、ガソリン、軽油、シンナー、機械油、水抜剤、助燃剤など)が混入した、灯油以外の油を入れたことのある容器に保管した灯油のことです。

不良灯油を使用した場合、燃焼時のニオイが強くなる、火力が上がらない、正常に着火・消火しないなどの症状が発生します。

万が一、不良灯油を使用した場合は、不良灯油を抜き、きれいな灯油でカートリッジタンク・油受皿・油フィルターを洗い、着火と消火を5回程度繰り返してください。

不良灯油が原因で修理となった場合は、保証期間中でも保証の対象外となります。

シリコーン等による石油ファンヒーターへの影響

石油ファンヒーターを使用しているお部屋でシリコーンが配合されている商品を使用すると、揮発したシリコーンがファンヒーター内部の安全装置に付着し、着火不良や途中消火といったエラー症状が発生します。

シリコーンは化粧品類(ヘアケア製品、保湿用クリームなど)、衣類の撥水剤・柔軟剤、家具の艶出し剤などに含まれていることがあります。

シリコーンによるエラー症状を防ぐために、下記をお守りください。

・石油ファンヒーターの故障の原因になる旨の表示がされている商品などは、石油ファンヒーターと同時に使用しないでください。

・洗面台などで洗い流さないヘアトリートメントなどのヘアケア製品を塗布され、乾かさずに石油ファンヒーターを使用中の部屋に移動した場合も同様にエラー発生の原因となります。

・やむなくシリコーン配合製品をご使用になる際は、石油ファンヒーターの運転を一時的に停止し、使用後は換気を十分に行ってシリコーンなどの成分を屋外に排出してから運転を再開してください。

万が一、シリコーンが原因で修理となった場合は、保証期間中でも保証の対象外となります。

7.使い方

給油の手順

1.運転が停止していることを確認します。

2.カートリッジタンクを取り出します。

3.口金を外します。

・外した口金にごみやほこりなどが付着しないよう、ぶつけたり落としたりしないよう注意してください。

4.給油します。

・万が一、灯油がこぼれた場合は、完全にふき取ってください。

5.口金を確実に閉めます。

・閉めたあと、軽く引き上げて外れないこと、斜め上から見てタンクの赤い線が見えないことを確認してください。

・火の気のないところで口金を下にして油漏れがないことを確認してください。

6.カートリッジタンクをセットします

・セットしたあと、ファンヒーターをゆすったりすると、口金の外側が灯油でぬれることがあります。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

給油の合図

1.カートリッジタンクの灯油がなくなり、油受皿の灯油が少なくなると、給油サイン(赤)がゆっくり点滅し、メロディーが鳴ります。

2.油受皿の灯油がさらに少なくなると、給油サイン(赤)が速く点滅し、メロディーが鳴って火力が小さくなります。(速いメロディーでお知らせします。)

3.そのまま使用を続けると、油受皿の灯油がなくなり、「E03」を表示して自動消火します。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

運転の開始

1.運転入/切スイッチを押します。

・運転ランプ(赤)が点灯します。

・設定温度と室内温度を表示します。

2.着火後、炎確認窓から炎の状態を確認します。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

運転の停止

運転入/切スイッチを押します。

・運転ランプ(赤)が点滅します。

・運転停止後、数分間は本体内を冷やすためファンが回っていますので、電源プラグをコンセントから抜かないでください。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

温度設定

運転中に温度/時刻調節ボタンを押します。

・設定温度を上げるときは、「＋」ボタンを押します。

・設定温度を下げるときは、「ー」ボタンを押します。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

主な機能

【チャイルドロック】

1.チャイルドロックボタンを「ピッ」と鳴るまで約3秒間押すと、チャイルドロックサインが表示され、設定されます。

2.再度、チャイルドロックボタンを「ピッ」となるまで約3秒間押すと、チャイルドロックサインが消え、解除されます。

・運転中の場合は、運転の停止と運転延長のみ操作が可能です。

・運転停止中の場合は、チャイルドロックの解除以外は操作ができません。

【タイマー設定】

1.表示切替ボタンを押し、時計合せ表示にして、温度/時刻調節ボタンで現在時刻を設定します。

2.表示切替ボタンを押し、タイマー合せ表示にして、温度/時刻調節ボタンでタイマー運転開始時刻を設定します。

3.運転入/切スイッチを押し、運転状態にした後、タイマーボタンを押し、タイマー運転待機中にします。

4.設定したタイマー運転開始時刻になると運転が開始されます。(タイマー運転開始時は安全のため1時間で自動消火します。)

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

8.お手入れの仕方

灯油を抜く

油フィルターを取り除き、市販の給油ポンプやスポイトなどで、油受皿内の灯油やごみ、水を抜いてください。

※一般的な説明の為、一部内容が異なる場合があります。

フィルターのお手入れ

ファンフィルターにほこりが溜まると温風が弱まり、ムダな灯油を消費してしまいます。こまめにお掃除することでムダな消費が少なくなります。

【ファンフィルターがついている機種の場合】

・掃除機などでほこりを吸い取ってください。

・汚れがひどいときは、洗剤などを使って浸け置きし、水で洗い流してください。

【ファンフィルターが付いていない機種の場合】

・掃除機などでほこりを吸い取ってください。

油フィルターのお手入れ

1.油フィルターを取り出して水やごみがたまっていないか確認します。

2.油フィルターは、きれいな灯油ですすぎ洗いし、よく乾燥させます。

・すすぎ洗い後、布などで灯油をふき取り、日陰に置いてよく乾燥させてください。油フィルターに水分が残っていると、灯油が落ちず、給油サインが点滅します。

・洗浄後の灯油を使用しますと故障の原因となりますので、処分してください。

9.修理時・廃棄時の注意

【設計上の標準使用期間】　8年

【長期間使用しないとき】

・電源コードを束ねます。

・カートリッジタンク・油受皿内の灯油を抜きます。

・燃焼・温風空気取入口、油フィルターの掃除をします。

・本体の汚れをふき取ります。

・ファンヒーターを包装箱に入れてください。

【廃棄のしかた】

・ファンヒーターを廃棄処分するときは、各自治体の指示に従ってください。

・必ずカートリッジタンク・油受皿内の灯油を市販の給油ポンプなどで抜いてください。

・灯油が入ったまま廃棄すると、リサイクルの際、思わぬ事故になるおそれがあります。

・灯油の処分は、灯油をお買い求めになった販売店にご相談ください。

商品紹介

石油ファンヒーター　FW-D5619L

暖房のめやす：木造(戸建) 15畳まで　コンクリート(集合) 20畳まで

タンク容量：9.0L

本体質量：11.9kg

暖房出力：最大5.60～最小1.23kW

燃料消費量：最大0.544～最小0.120L/h

燃焼継続時間：大火力16.5～小火力75.0時間

消費電力(50/60Hz): 大火力時190/190W

小火力時：80/80W 　最大(点火時)：410/410W

待機時：1.0/1.0W

運転音：最大41～25dB

本体外形寸法(置台含む)：高さ445×幅466×奥行349mm

石油ファンヒーター　FW-D3319K

暖房のめやす：木造(戸建) 9畳まで　コンクリート(集合) 12畳まで

タンク容量：5.0L

本体質量：7.6kg

暖房出力：最大3.30～最小0.74kW

燃料消費量：最大0.321～最小0.072L/h

燃焼継続時間：大火力15.6～小火力69.4時間

消費電力(50/60Hz)：大火力時：99/99W

小火力時：52/52W　最大(点火時)：370/370W

待機時：1.0/1.0W

運転音：最大36～24dB

本体外形寸法(置台含む)：高さ429×幅371×奥行299mm

業務用ファンヒーター　FM-10C

暖房のめやす：木造(戸建) 26畳まで　コンクリート(集合) 35畳まで

タンク容量：13.0L

本体質量：16.4kg

暖房出力：最大10.00～最小3.50kW

燃料消費量：最大0.972～最小0.340L/h

燃焼継続時間：大火力13.4～小火力38.2時間

消費電力(50/60Hz)：大火力時：265/265W

小火力時：140/140W　最大(点火時)：935/935W

待機時：1.1/1.1W

運転音：最大45～34dB

本体外形寸法(置台含む)：高さ665×幅456×奥行546mm

提供元：ダイニチ工業株式会社

https://www.dainichi-net.co.jp