2022年01月04日
by DCM 編集部 |
公開:2022.01.04 07:00 更新:2022.01.05 14:37
透明感のある、美しい見た目が特徴のハオルチアは、人気の高い多肉植物です。あまりの人気の高さから、高級多肉植物とも呼ばれ、希少な品種だとオークションで30~50万円もの高値がつくこともあります。
病害虫に強く、栽培が容易なハオルチアは、初心者にもおすすめです。また、増やす際の手順も簡単なので、寄せ植えとして独自の世界観を演出したり、オリジナルの交配種を生み出したりと、さまざまな楽しみ方ができます。
今回は、特徴や育て方からお手入れ方法まで、ハオルチアの魅力を紹介します。
ハオルチアの最大の魅力は、まるで水晶のように輝く幻想的な見た目です。マニアや愛好家も多く、SNS等に投稿されている美しいハオルチアの画像を眺めているだけで、植物の神秘を感じられます。
ハオルチアは、ワスレグサ科の多肉植物で、ロゼット型に広がる、独特の透明感がある葉が特徴です。品種は豊富で、100種類以上あるといわれています。
生育型は育てやすい春秋型です。大きさは、生長しても15cmほどにしかなりません。スペースを取らない手頃なサイズで、インテリアとして扱いやすい点でも人気があります。
ハオルチアの独特の透明感は、葉先にある「窓」と呼ばれる透明な器官によるものです。しかも、「ハオルチアは窓で個性が決まる」といわれるほど、色合いや模様、光の透過具合などが品種によって異なり、違う品種を栽培すれば、さまざまな表情を楽しめます。
ハオルチアには、丸みを帯びた葉の「軟葉系」と、硬く鋭い形の葉をした「硬葉系」の2種類があります。
軟葉系の特徴は、葉の先端で輝く透明感が魅力の「窓」です。柔らかく、ぷっくりとかわいらしい葉で、内側にたくさんの水分を蓄えています。
軟葉系でおすすめの品種は、「オブツーサ」「レツーサ」「コレクタ」「京の舞」です。とくに「オブツーサ」は、他の品種に比べて、窓の透明度が高いので人気があります。「オブツーサ」の愛称は、「雫石(シズクイシ)」です。窓に光が透過すると、雫のようにキラキラと輝くことから、このように呼ばれています。
硬葉系のハオルチアの特徴は、硬く、鋭い形をした葉です。葉の鋭利な部分は、「ノギ」と呼ばれ、幾何学的で、シャープな株姿をしています。窓が美しい軟葉系とはまた違った、強い個性と存在感が魅力です。
硬葉系でおすすめの品種には、「十二の巻」「ビスコーサ」「パークシアナ」「竜鱗(リュウリン)」などがあります。とくに「十二の巻」は、かわいらしい見た目から、室内のインテリアとして人気が高い品種です。
ハオルチアは、初心者でも育てやすい多肉植物です。水やりや肥料があまり必要ないので、手間もかかりません。しかし、水を与えすぎると、根腐れを起こしやすいので注意が必要です。
ハオルチアは、あまり日光に当てる必要がないので、室内で手軽に栽培できます。多肉植物をインテリアとして楽しみたい人にぴったりです。
むしろ、直射日光に弱いので、一日中直射日光が当たる場所は避け、カーテン越しに日光が当たる風通しのいい窓辺などに置きましょう。
ハオルチアの苗を選ぶ際に注意したいポイントは、軟葉系と硬葉系で異なります。
軟葉系は、表面に艶と張りがある、若々しい葉が生えた苗がおすすめです。一方、硬葉系は、しっかりとした厚みのある、雄々しい葉が生えた苗を選びます。また、どちらの系種も、葉が放射線状に等しく伸びている、元気な苗を選ぶことが大切です。
また、苗を購入する際は、なるべく入荷したばかりの苗を選びましょう。入荷後日にちが経っていると、光不足や湿気で株が弱っていることがあります。もし長い期間、店内に置いてある苗を購入した場合は、はじめはうっすら光が当たる場所に置き、徐々に光に慣らしていきましょう。
ハオルチアは、基本的に乾燥気味に育てるのがポイントです。水やりは、生育期と休眠期で方法が異なります。
生育期(春と秋)は、週に1回ほどのペースで水やりをしましょう。水やりのタイミングは、土の表面が乾いたときで、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
一方、休眠期(夏と冬)の水やりは、ほとんど必要ありません。土の表面が乾いた場合でも、よっぽどでない限り、水を与えないほうが無難です。目安としては月に1回ほど、少量の水を与えれば十分です。水を与えすぎると、根腐れの原因になってしまいます。
水やりをする際は、極力葉にかけないように注意が必要です。ハオルチアは、葉の間に水がたまりやすいので、隙間に残った水が蒸発しきれず腐って、病気に原因になります。また、日中の水やりは避けましょう。
とくに夏場は、土の中に染みこんだ水が熱くなり、根を傷める原因になります。涼しい朝の時間帯がおすすめです。
ハオルチアは、適度に空気を含んだ、水はけのよい土を好みます。ホームセンターなどで販売している、多肉植物用の土で問題ありません。
自分で配合する場合は、鹿沼土(小粒)2:赤玉土(小粒)2:ピートモス2:川砂2:くん炭2の割合が目安です。
肥料については、多くのエネルギーを必要とする、生育期の春と秋に与えます。頻度は、2週間に1回程度です。
規定量に薄めた液体肥料か、緩効性化成肥料を、水のかわりに少量与えましょう。ただし、水と同様、やりすぎには注意が必要です。肥料のやりすぎは、根腐れの原因になります。
ハオルチアを育てるのなら、基本的なお世話をしつつ、より栽培を楽しみませんか。
定期的に植え替えれば、より大きく育ちますし、株も長持ちします。さらに、植え替えのタイミングでハオルチアを増やすのもおすすめです。
基本的な育て方よりは手間がかかりますが、手をかけた分、ハオルチアに愛着が湧いてきます。ハオルチアの植え替えや株分けにぜひ挑戦してみてください。
ハオルチアは生長が遅いので、頻繁に植え替える必要はありません。それでも、株の健康を維持し大きく育てるためには、2~3年に一度植え替えることをおすすめします。
植え替えをすると、少なからず多肉植物はエネルギーを消耗します。なので、植え替えに適した時期は、生育期(春と秋)のはじめです。
植え替えの手順は、他の多肉植物の植え替えと違いはありません。植え替え前に苗を1週間ほど断水させ、完全に土が乾いてから作業をします。
完全に土が乾いたら、まず苗を鉢から引き抜き、根についた土を手でもみほぐしながら、丁寧に落としてあげましょう。
茶色く変色した古い根は、剪定ばさみで切り取ります。大事な根をカットすることにためらいを感じることもあるでしょうが、古い根は、新しい根が生えるのを邪魔します。
また、処分した根の切り口から雑菌がハオルチアに入らないように、根を切るハサミはあらかじめ消毒しておきましょう。
植え替え用の鉢には、ネットと、鉢底石を薄く敷き、そのうえから土を鉢の半分程度まで入れておきます。鉢の中央に苗を置き、その周囲に残りの土を被せれば完成です。
植え替え直後は、鉢底から水があふれるくらいたっぷり水を与えます。その後の管理は、明るい日陰で行いましょう。
ハオルチアを寄せ植えにする場合も、植え替えと同じ手順です。
ハオルチアは、株分けという方法で増やすことができます。
株分けの手順は、いくつか違う手順があるものの、実施時期も含めて、基本的に植え替えと同様です。植え替えと同時に作業すれば、株への負担も減らせますし、手間も省けます。
植え替えと異なる手順の1つ目は、子株を切り取る作業です。鉢から抜き取った苗の土を落とし、親株の周囲に生えている子株を指で丁寧に切り取ります。ただし、直径2cm未満の小さい子株は、株分けをしても生長しにくいので残します。
子株を切り取ったら、植え替え同様古い根を切るのですが、株分けの場合は、根を切ったあとに涼しい場所で乾燥させることが必要です。
植え付けの手順は、植え替えと同じですが、水やりについては大きく異なります。植え付け後、すぐにたっぷりと水を与える植え替えに対して、株分けをする際は、植え付け後4〜5日経ってから水やりをしましょう。
また、ハオルチアは、葉挿しでも増やすことができます。葉挿しのほうが手順は簡単で、葉を土のうえに寝かしておくだけです。
落ちた葉か、根本からもぎった葉を多肉植物用の土に仰向けに寝かせます。
株分けと同様に、親株の土が乾燥した状態で作業をし、作業直後には水を与えません。根が伸びてきたら、水を徐々に与えはじめ、新しい子株が出てきてしっかりと根付いたら、鉢に植え替えます。
「窓」による透明感が特徴的なハオルチアは、生きた宝石とも呼ばれる、美しい多肉植物です。単体でも十分に魅力的ですが、寄せ植えにすると、さらに魅力が増します。
寄せ植えは、種類の違う多肉植物を組み合わせることが一般的ですが、あえて、品種が豊富なハオルチアだけで寄せ植えを作ってみてはいかがでしょうか。
同じハオルチア属であれば、生育型を考えながら組み合わせる必要がないので、好みの品種で自由に寄せ植えをアレンジできます。
写真映えもよく、幻想的なハオルチアをぜひ自宅で育ててみてくださいね。
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