2022年01月04日

初心者はトマトの水耕栽培をどう始めればいい?始め方と注意点まとめ!

by DCM 編集部

公開:2022.01.04 00:00 更新:2022.01.05 14:18

家庭菜園でよく目にするトマトは、見た目がかわいくて育てやすいだけでなく、収穫も期待できるのがうれしいですね。

自分で作れば農薬の心配もないので、安心して食べることができます。また、毎日の食卓に採れたばかりのトマトを新鮮な状態で並べられることも魅力のひとつです。

実はそんな魅力あるトマトを、土を使わない水耕栽培で育てることができます。ところが、具体的なイメージがつかないかたも多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、初めて水耕栽培を始める人でも安心して始められるように、トマトを水耕栽培する前に知っておきたいこと、実際に育てる手順について解説します。

ちょっと待って! トマトの水耕栽培をする前に知っておきたい5つのこと

トマトの水耕栽培を始める前に、トマトの栽培についてさまざまな視点から知っておきたいポイントを5つまとめてみました。

・水耕栽培でトマトを育てるメリット

・トマトの栽培を始める最適な時期

・ふつうのトマトと矮性トマトの特徴

・本格的な水耕栽培のシステムがおすすめの理由

・水耕栽培を始めるのに最低限必要なもの

では、順番にみていきましょう。

トマトの水耕栽培をするメリット

土を使わずに植物を育てることが可能な水耕栽培は、部屋の中を汚すことなく楽しむことができます。

食べられる野菜や果物類の植物を土で育てると、虫がつきやすくなってしまいます。土耕栽培に比べて水耕栽培は害虫被害が少ないので、殺虫剤を使わずに済むのも大きなメリットです。

また、植物の根が成長して伸びる際、土よりも水のほうが抵抗も少なく、早く大きく成長します。ただし、大きなサイズのトマトは水耕栽培では育てにくく、ミニトマトのほうが作りやすく向いているといえます。

水の管理に手間がかかる水耕栽培ですが、目につきやすい環境に置けるので、忘れて枯らしてしまうようなことは起こりにくいでしょう。トマトは成長も早いのですくすく育つ過程を眺めるのも、日々の楽しみになりますよ。

トマト栽培を始める最適な時期は4〜6月

屋外で栽培するトマトの種まきの時期は通常4〜8月ですが、水耕栽培で育てるなら4〜6月の早いタイミングで種をまくことも可能です。

種から育てることで自分の好きな品種を選ぶことができますが、発芽しない可能性もあり、難易度が上がります。

初心者の場合は、収穫する喜びを味わうことからスタートするほうがモチベーションも上がるので、買ってきた苗を植えるほうが安全です。トマトが早く成長するのですぐに収穫でき、かつ収穫期間を長く楽しめます。

さらに、比較的温度が安定しやすい日の当たる室内に置くことで、トマトの生育がよくなり、収穫量も多くなります。環境条件がよければ冬からの栽培も可能で、長期にわたって収穫することができます。

ふつうのトマトと矮性トマト

ふつうのミニトマトは縦に長く伸びて大きく育ち、180センチほどある支柱を用意する必要があります。

また普通のトマトのわき芽かきは必須です。水やりをするだけでは増えた枝葉がいっぱいになり、病気や害虫が発生しやすくなってしまいます。

一方、矮性トマトは縦に伸びずに横に広がるので小さなプランターで栽培することが可能です。実がついた茎からはそれ以上茎が伸びず、わき芽は横に伸びて広がり、室内での水耕栽培に向いています。

矮性トマトには支柱は必要ありませんが、実の重さを支えるためにあんどん支柱を使うとよいでしょう。

本格的な水耕栽培システムがおすすめ

水耕栽培の装置は自作することができます。まずはペットボトルの水耕栽培装置から作ってみてはいかがでしょうか。また、たくさんのトマトを栽培したい場合には、もっと本格的な水耕栽培のシステムを自作することができます。

特別な道具を必要とせずに、身の回りにあるものですぐに始められるペットボトルの水耕栽培なら初期費用もほとんどかからず、場所をとることもありません。工作をするような感覚で簡単に作ることができるのも魅力です。

水耕栽培に慣れてきて、抵抗なく続けられる、または続けてみたいと思えたなら、本格的な水耕栽培システムに移行していくとよいでしょう。

初期費用、システムを作る手間、作った装置を置く場所なども必要となってきますが、本格的な水耕栽培システムのほうが収穫量も多い上に、手間もかからず、何年も繰り返し使うことができるのがいいですね。

また、常に水の流れがあるので水に新鮮な酸素も取り込まれ、根腐れも起こさず健康なトマトが育ちやすいというメリットもあります。

結論としては、

「やってみたい」

「試してみたい」

という感覚で始めるなら、やっぱり手軽に始められるペットボトルがおすすめです。長期的に継続しようと考えるなら、本格的な水耕栽培システムが安定していて経済的です。

トマトの水耕栽培をするために最低限必要な準備物

トマトの水耕栽培に最低限必要なものを挙げるとすれば、トマトの苗はもちろん、液体肥料、スポンジ、そして水耕栽培の装置です。

もちろん他に道具があれば便利ですが、とりあえず最低限この4つがそろえば水耕栽培は可能です。

また、トマトの水耕栽培道具がセットになった水耕栽培キットも市販されているので、準備が面倒な場合はそれを利用するのもよいでしょう。

トマトの水耕栽培をするときならではの注意点

トマトの水耕栽培をするにあたっての注意事項がいくつかあります。トマトの特性を把握してから育てると失敗しにくくなります。

・摘心と誘引で苗の大きさを調整する

・綿棒や筆で人工受粉する

室内での水耕栽培には室内なりのデメリットもあり、それを補うための世話も必要になってきます。

摘心と誘引で苗の大きさをコントロール

トマトは高く上に伸びていく性質を持っています。特に普通のミニトマトは160センチ以上伸びるので、誘引とわき芽かきはマメにおこなうことは必須事項です。

トマトは伸びるのが早いので週に1回はチェックして、伸びた茎を支柱に麻ひもなどでくくりながらしっかり誘引していきましょう。またそれと同時に、わき芽かきも定期的におこないます。

普通のトマトの場合は上に伸びやすいので、なるべく摘心をして横に伸びていくように調整します。矮性トマトは横に広がるのでわき芽かきの必要はありませんが、葉全体に日光が当たるように横芽の摘心をするとよいでしょう。

綿棒・筆で人工受粉する

室内で水耕栽培をしていると安定した環境にあるので、天候に左右されることなく育ちます。しかし、風による風媒受粉やみつばちなどによる虫媒受粉の機会を失ってしまうので、自然受粉が難しい環境です。

たとえ、ベランダにおいて外気に触れるようにしていても、マンションの上層階だと虫がそこまで上がってこないので風媒受粉頼みとなって受粉率はかなり下がってしまいます。

そういった場合には人工受粉が有効です。人工受粉は確実に受粉できるので安心です。やり方も難しくなく、花粉のある花を摘み取って開花している花のめしべにこすりつけても、花粉を綿棒や筆でとってつけてあげてもOKです。

満開の時期に晴れの日を選んで、朝から午前10時ごろまでを目安に人工受粉をしてあげるとよいでしょう。雨の日は花粉が流れてしまうため避けましょう。

初心者は何から始める? トマト水耕栽培のおすすめステップ

トマトをたくさん栽培したいけど、全くの初心者だから失敗もしたくないというかたも多いと思います。

ここからは、具体的にどんなステップでトマトの水耕栽培をすればよいのか整理していきます。

・最初はペットボトル栽培から始める

・慣れてきたら本格的な水耕栽培システムを使う

最初はペットボトル栽培から始める

初心者やトマトの水耕栽培が初めてというかたなら、まずはペットボトルの水耕栽培装置で体験してみましょう。ここではその作り方を簡単に説明していきます。

まず2リットルのペットボトルを用意し、上から3分の1を水平にカットします。そうしたらカットした上部の飲み口を逆さにして下部に差し込みます。

次に苗の根っこ部分をスポンジで挟み、重ねた上部の飲み口に差し込みます。下部には液肥を薄めた培養水を入れ、差し込んだ苗の根が培養水を吸い上げるようにします。

根が短くて培養水に届かない場合は、ポリエステル製のひもなどで根と水の間をつなぐようにセッティングしてあげると、ひもを通して培養水を吸い上げます。

慣れてきたら本格的な水耕栽培システムを使う

ペットボトルの水耕栽培装置を作るのはとても簡単です。1株ずつ栽培してみて、まずは収穫まで成功させてみましょう。

小さな水耕栽培装置に慣れたら、少し大掛かりな水耕栽培システムにステップアップしていきます。

大きな水耕栽培を作る際、種からある程度しっかりした苗にまで育てるのに成功すればたくさん作ることができますが、うまく発芽しなかった場合、苗をたくさん用意する必要があります。

ところが、多くの苗を用意しなくても大丈夫な方法があります。トマトは挿し木で増やすことも簡単な植物で、しかも、わき芽かきの際に摘み取ったわき芽を再利用できるのです。

5〜10センチの元気なわき芽を選び、水の入った瓶などにつけておきます。切り口から3分の1程度を水につけ、明るい日陰に置きます。根がはって出てきたら新しい苗として水耕栽培システムに仲間入りさせていくことが可能です。

これを繰り返すと、大きな水耕栽培システムであっても年中、トマトの苗を切らすことなく栽培し続けることができますね。

安全で新鮮なトマトを食卓に

水耕栽培は簡単に始めることができます。トマトが育つのに必要な日光と新鮮な水と液体肥料があれば、どんどん株を増やし、実を実らせ、元気に育つということがわかりました。

また、水耕栽培をすることで虫がつくこともないので、薬をまく必要もなく安全で新鮮なトマトを日々収穫することができます。

初心者なら世話が簡単で水耕栽培に向いている矮性のトマトから、経験を積んだかたならさまざまな品種に挑戦していくのもおもしろいでしょう。

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