2020年12月10日
by 株式会社 ニッサチェイン |
公開:2020.12.10 12:30 更新:2021.10.04 16:23
実はとっても奥が深い「チェーン」について今回はご説明します。
チェーン(鎖、くさり)は大きく分類すると3つの要素に別れます。
1.素材特性
2.表面処理&加工
3.形状特性
これらの要素の組み合わせにより、一つ一つのチェーン(鎖、くさり)の特性が決まります。
<鉄>
鉄鋼は金属の中で最もポピュラーで種類も豊富。チェーン(鎖)の場合も線材、板材、硬いもの、軟いもの、バネ性のあるもの等、様々なバリエーションを豊富に揃えています。高いコストパフォーマンスも魅力。様々な表面処理により、耐蝕性を高め美しく仕上げられます。
<ステンレス>
”さびにくい鋼”という名の通り、鉄の合金。約13%以上のクロムを含むものをステンレスと呼びます。サビに強く独特の光沢があります。チェーン(鎖)では、18-8ステンレスと呼ばれ、厨房用品や科学設備に用いられているSUS304を中心に、海水にも強いSUS316等が使用されます。
<真ちゅう>
銅と亜鉛の合金。その比率により材質バリエーションがあります。耐蝕性に優れ、加工もしやすく、しかも硬さや強さ(引っ張り強さ)も大きい。チェーン(鎖)には代表的な材質C2700W・C2680Rが使用されています。C2700Wは大気中での耐蝕性が高く、屋外での使用に最適です。
<アルミニウム>
非常に軽く加工性に優れているので、装飾やホビー等に最適です。チェーン(鎖)には純度99.7%のA1070Wの他、アルミニウムにマグネシウムなどをプラスした強度・耐蝕性の高い合金を用途に応じて使用されています。鮮やかな色を長期間保持できるためチェーン(鎖)に適した素材といえます。
<プラスチック>
軽さと鮮やかさ、特に耐蝕性に優れ、金属にはない風合いがあります。主な材質は高密度ポリエチレン。また、ポリアセタールを使用したチェーン(鎖)は高密度ポリエチレンを使用したものより、強度的に優れたものです。このチェーンは荷重を継続的にかけると伸びて切れるので(常温クリープ現象)、使用には十分な注意が必要です。
<クロームメッキ>
下地に銅やニッケルをメッキし、その上にクローム皮膜をはる。光沢、耐摩耗性、耐蝕性等に優れますが、コストや公害等の問題から、雑貨や比較的安価な金物類には使用されることが稀です。
代替処理として下記のすずコバルトメッキが一般的に多く利用されています。
当社のチェインには慣習上クロームと表記していますが、すずコバルトメッキを採用しています。
<すずコバルトメッキ>
下地にニッケルをメッキし、その上にすずコバルト皮膜をはります。クロームメッキに比べ耐磨耗性、耐蝕性共にやや劣りますが、光沢等の外観はクロームメッキに似ているため、多方面に渡り利用されています。チェーン(鎖)の場合は主に鉄や真ちゅうに対して使われています。
<ニッケルメッキ>
クロームメッキに比べ耐摩耗性、耐蝕性は共にやや劣りますが、比較的に安価。チェーン(鎖)の場合は主に鉄や真ちゅうに対して使われています。
<ユニクロメッキ>
亜鉛メッキ系の一種。正確には光沢クロメートメッキといいます。ニッケルメッキに比べ耐摩耗性、耐蝕性は共にやや劣りますが、比較的に安価。チェーン(鎖)の場合は主に鉄に対して使われています。なお、処理工程で六価クロムを一般的に使用しますが、RoHS指令対応品として三価クロムを使用した別注品も承っております。
<ファインカラー処理>
下地にニッケルメッキやクロームメッキを施し、耐蝕性を確保した上で電気的に粒子状にした顔料を付着させる処理。様々な応用が期待でき、耐蝕性とカラフルさを両立させた表面処理技術です。チェーン(鎖)の場合は主に鉄やステンレスに対して使われています。
<電解研磨>
電気的に金属表面を平滑化して独特の光沢を出し、耐蝕性を向上させる表面処理技術。特に耐蝕性では他の追随を許さない。チェーン(鎖)の場合は主にステンレスに使われています。
<科学研磨>
化学的に金属表面を磨く処理。使用する薬品や方法で種類はありますが、電気研磨に比べ安価ですが耐蝕性では電解研磨に及びません。チェーン(鎖)の場合は主にステンレスに使われています。
<着色アルマイト処理>
電気的に金属表面に小さな孔をあけ、染料を浸透させた後、化学的に封孔処理をしたもの。チェーン(鎖)の場合は主にアルミニウムに使われています。
<バット溶接>
電気抵抗による発熱を利用した溶接で一般的に鉄、ステンレス、アルミ、真ちゅう等に施します。ニッサチェインでは主に鉄のチェーン(鎖)に行い、主要製品では自動電気溶接・全品引っ張り検査システムを採用し製品全体の強度の増加と安定を実現しています。
<アルゴンTIG溶接>
タングステン電極に高圧電流を流すことによって得られるアークの熱を利用した電気溶接。溶接部位に酸化を防ぐためのアルゴンガス(不活性ガス)を吹き付けるためこう呼ばれます。主にステンレスチェーンに施します。
<フリクション>
マンテルチェーンの表面をカッターで削り、チェーン(鎖)の一部を平らな鏡面にする形状加工です。削られた面がきらきらと輝き、チェーン(鎖)が美しく見えます。
<その他の加工>
デザイン面での加工として、ローレット加工、ダイヤカット加工、ギャザー加工、、種々のプレス等があり、主に真ちゅう、アルミニウム等に施されます。
リンクチェーンを90度ひねり、溶接部位を巧みに処理した美しい仕上がりのチェーン(鎖)。ツイストリンクチェーンとも呼ばれています。自動電気溶接機の開発と全品引っ張り検査システムによって、同タイプでは抜きんでた強度を実現しています。
溶接などの後加工がありません。その複雑な形状によって、トータル強度の安定を大幅にアップしたチェーン(鎖)。1コマの長さがあるため、細かい長さの調節は困難な面があります。
最も基本的でシンプルな形をしたチェーン(鎖)。未溶接のものはジョイントや加工がしやすい反面、強度では他のタイプに一歩譲りますが、比較的安価なのが魅力です。大型のものは溶接済みが多く、船舶関連や重量物吊下げに多く使用されます。
美しさと強度の両立をめざして工夫を重ねたチェーン(鎖)。接合部が二重になっているので強度も充分。ラダー、ライト、シェープの形状バリエーションも美しい仕上がりのチェーン(鎖)です。
リンクチェーンをひねった変形チェーンで、強度はほぼリンク並みのチェーン(鎖)。シンプルで生産性が高く、大量需要に応じられ、比較的安価です。三つ組み、シングルやダブル等、独特の形状をしたチェーン(鎖)です。
板を球形にプレスし、ピンで繋いだチェーン(鎖)。チェーンっぽさを感じさせない、ソフトタッチの美しさ。ねじれが生じず、手ざわりのよさは最高ですが、長期的な使用では耐久性にやや難点があります。
金属板をプレスして繋いだチェーン(鎖)。自重量対強度比が高く、その構造上、ダイレクトにビス止めができるなどの加工性の高さがあります。
チェーン(鎖)の強度を表わす上で最も信頼できるのが破断荷重(BL)と呼ばれるものです。
文字どおりチェーン(鎖)が切れてしまう荷重値なのですが、実際にはそれまでにチェーン(鎖)は少しずつ伸びています。
もちろん形状的にも変形して伸びるのですが、素材としても明らかに伸びているのです。バネが伸びる のと同じ様に、ある荷重限度を超えると戻らなくなってしまいます。
これを専門的には降伏点、 または耐点といいます。
この時点でチェーン(鎖)の破断がある意味で始まった訳で、こんな状態で長く使っていると、いつかはチェーン(鎖)が耐えきれなくなってしまいます。
仮に最悪の事態は免れたとしても、口の開いた「くさり」には、もう新しい時の力は残っていないのです。
そこで、メーカーでは安心してチェーン(鎖)を使っていただくため、安全率をみて、破断荷重の何分の1で使用してくださいと言ったり、表示をしていますが、それはあくまでも一般論にすぎず、 お客様にとっての安全荷重は、お客様とチェーン(鎖)を取り巻く環境や、その主たる目的によって 大きく変化するものです。
例えば化学的に条件の悪い場所、振動、衝撃など物理的に条件の悪い場合などです。
もっと簡単な例を挙げれば、吊下げる物がお客様にとって非常に大切な物、最悪の場合、生命に危険が及ぶと考えられる場合。
こんな時は、メーカーなどの一般的数値から更に安全率 を見る事が必要になってきます。
以上の事をはっきり認識していただいた上でチェーン(鎖)をご使用いただければ、チェーン(鎖)の持つ数々の特質に十分満足していただける事と思います。
※チェーン(鎖)のスペックに掲載されています、破断荷重、試験荷重、参考使用荷重は全て静荷重による参考データです。 荷重のかけ方などにより異なりますのでご注意ください。
スペックには参考使用荷重が掲載されていますが、急激に荷重をかけるなど、使用条件によって異なります。
参考使用荷重はあくまでも目安としてご利用の上、表示数値に多少の余裕をもたせ た荷重でご利用ください。
傷のついたチェーン(鎖)やワイヤーロープ、折れたワイヤーロープは、万一の事故を防ぐためご使用にならないでください。また、ワイヤーロープの末端処理はていねいに行ってください。
チェーン(鎖)やワイヤーロープに極端な緊張を与えないために、荷重はゆっくりとかけてください。また、複数のチェーン(鎖)やワイヤーロープで物を支える場合、荷重は均等にかけるようにしてください。
チェーン(鎖)やワイヤーロープのねじれは、製品寿命を短くするだけでなく強度の低下をきたし危険です。使用される前に、ねじれを取り除いてからご使用ください。
チェーン(鎖)やワイヤーロープを荷物などの角に直接当てると、ゆがみ損傷の原因となり破断に結びつく悪い要素となります。 角とチェーン(鎖)やワイヤーロープの間に添えるものを入れてご使用ください。
次のような場合は、ひとまわり太めをお選びください。
1.吊下げる物の重量が正確にわからない。
2.衝撃荷重がかかると思われる。
3.非常に激しく使用する。
4.生命や身体に危険が及ぶと考えられる。…など。
プラスチックチェーンは、荷重を継続的にかけると、伸びて切れてしまいます。(常温クリープ現象)
吊下げ用としてのご利用はおすすめできません。
一般のチェーン(鎖)も防錆加工を施していますが、湿気の多い場所や戸外で長期間ご使用になると、 腐食して破断する危険性があります。
電解研磨仕上げで耐蝕性を高めたステンレスチェーン、 または真ちゅうチェーンをご使用ください。
ボールチェーン用パーツ、アクセサリーチェーン用パーツ、ワイヤーロープ用パーツはそれぞれ専用のチェーン(鎖)及びワイヤーロープと組合わせてご使用ください。選択または用途を間違えると、チェーン(鎖) やワイヤーロープの抜けなどの原因になります。
データなど、各種のご質問はお気軽に当社宛、メールなどでお問い合わせください。より安全に末永くご使用いただくために、詳しいご説明をさせていただきます。
※チェーン(鎖)のスペックに掲載されています、破断荷重、試験荷重、参考使用荷重は全て静荷重による参考データです。 荷重のかけ方などにより異なりますのでご注意ください。
いかがでしたでしょうか?「素材特性・表面処理・形状特性」この3つの要素の組み合わせによって、チェーンの特性が決まるため、様々な種類のチェーンが売られているんです。
用途や目的に合ったチェーンを選んで使ってみてください!
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