2021年09月09日

暑いとき気になる「体臭」について

by DCM株式会社

公開:2021.09.09 11:40 更新:2021.10.04 16:23

2018.07.11
家事のアレコレ、健康、安全など暮らしの悩みは尽きないもの。そんなお悩みの解決法を、住生活ジャーナリストの藤原千秋さんにお聞きしました。

お悩み

「先日、電車に乗ったとき隣に座った人が汗臭すぎて、気分が悪くなってしまいました。身なりはふつうなのですが、どうしてあんなに臭うのでしょう。自分自身も自覚のないまま、あのように悪臭の源になってしまうこともあるのでしょうか?」

■知っていますか? 「スメルハラスメント」

袖振り合うも他生の縁と言いますが、電車内で出遭ってしまったくらいのご縁で良かったですね。仮に職場などの隣の席だったりしたら、一日中、四六時中、そのニオイに触れていなければならないので……。件の座席に座ったその方のご同僚などは、きっと大変な思いをされているのでは。

「ハラスメント」=「嫌がらせ」とされる行為として、「セクシャルハラスメント」「マタニティハラスメント」「パワーハラスメント」という言葉は、残念ながら、よく知られています。しかし、「スメルハラスメント」については、まだそこまでの認知度ではないかもしれません。

「スメルハラスメント」とは、すなわち「臭いによる嫌がらせ」のことで、体臭、口臭、香水臭などのほか、最近では強すぎる柔軟剤臭、洗剤臭なども問題視されるようになってきました。香る害と書いて「香害(こうがい)」なんていう言葉も、すでにどこかで見聞きされたことがあるかもしれませんね。

ただ、「スメルハラスメント」略して「スメハラ」には、ほかの種類のハラスメントと比較して難しい点がひとつあります。それは「ハラッサー」(ハラスメントをしている人)自身に、「嫌がらせをしている」という自覚が生じにくいという点です。

■自分の体臭には気づけない

とりわけ、「体臭」絡みのスメハラはデリケートな問題といえるでしょう。真夏など、とんでもない悪臭の元になりやすい「発汗」自体は、止めようのない、生命維持に欠かせない生理現象です。またそもそも人の嗅覚には「順応性」という性質があり、つねに身の回りに漂っている自分自身の体臭は、容易に認知することができないのです。

「香水臭」「制汗剤臭」「柔軟剤臭」などが往々にして行き過ぎがちなのも、ふりかけている本人は「慣れ」てしまってもう臭いを感知していないという理由が大きいといえるでしょう。しかも、元の体臭や悪臭をマスキングする目的があるなど、むしろ「良かれ」と香らせていることも多く、周囲も「悪臭だからやめて」とはなかなか指摘しにくいというさらなる難しさもあります。

ただ、「自分自身が悪臭源にならないように」という方向で対策を講じたい、ということであれば、できることは決して少なくはありません。

まず真夏に身につけている衣類からひどく臭うような場合、多くは衣類が汗で「生乾き状態」のまま長時間過ごしてしまっている状態か、部屋干しが常態化しているなど洗濯物を乾かすのに長い時間を日常的に要してしまっている(こちらも生乾き状態が長い)か、どちらか、あるいは両方のケースが考えられます。

いずれもその衣類の繊維の内部で、長時間にわたって多量の細菌が繁殖してしまっている極めて不衛生な状況であると考えられます。また、その汗臭い独特の酸臭は、雑巾のような臭いを醸し出す細菌(モラクセラ菌)とは別の「マイクロコッカス菌」という菌であるということなどが近年特定されています(※1)。

それら臭いの原因菌じたいは、いずれも私たちの皮膚の常在菌のうちの一つであり、決して珍しい菌ではありません。しかし、それは「スメハラ」における耐え難い悪臭の原因であり、軽視できない存在となっています。

■厳密には体臭ではなくても体臭としてカウントされる悪臭対策

これらの細菌の発生を100%抑える、ということは現実的ではありませんが、なるべく増やさないためにできることには、「汚れた衣類は時間をおかずに」「的確に洗濯をして汚れを落とし」「なるべく短時間のうちに乾燥させる」ということがあります。要は、「洗濯をがんばる」ということです。

ただしここで、「良かれ」と余計なことをしてしまうと状況をさらに悪化させかねないので注意が必要です。ありがちなのは「汚れをよりしっかり落としたいので洗剤を無手勝流に増やす」「臭いを消したいので香りの強い柔軟剤をたっぷり使う」という対策ですが、規定量以上の洗剤や柔軟剤の使用は、かえって洗濯物を「汚す」結果「悪臭を増やす」むしろ「化学的な悪臭として体臭よりも周囲に不快を与えかねない」ことにつながるので、決して行わないでください。

どうしても何かを足したい、何かをくふうして効果を高めたいのであれば、「液体洗剤ではなく粉洗剤を使う(洗浄力が高いため)」「粉洗剤に、粉の酸素系漂白剤を適量併用する(洗濯物の菌を殺菌する)」「酸素系漂白剤を併用する際の洗濯には常温水ではなく40度程度のぬるま湯を使用する(酸素系漂白剤の効果を高める)」という方法がありますので参考にしてください。

柔軟剤については、そもそもの使用目的は殺菌や臭い対策ではなく、衣類の繊維の保護や潤滑性を高め静電気の発生を抑えるなどであることを参考に、くれぐれも適量を超えないようにしましょう。

※1)汗をかいた後に衣類から発生するニオイ成分とその原因菌を解明

https://www.kao.com/jp/corporate/news/rd/2016/20160608_001/

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<プロフィール紹介>

藤原千秋

大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。

提供元:DCM株式会社

https://www.dcm-hc.co.jp/

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