2021年08月09日

お盆の準備・迎え方・過ごし方|暮らしの歳時記~今さら聞けないマナーと常識~

by DCM株式会社

公開:2021.08.09 08:00 更新:2021.10.04 16:23

お正月と並んで、お盆は日本人の生活に深く根付いている行事。会社が一斉にお盆やすみとなり、故郷への帰省ラッシュで賑わう交通機関の様子が、毎年恒例のようにニュースに。普段は遠く離れた家族が集まる大切な日でもあります。先祖の魂を迎えて供養する行事であるお盆の準備・迎え方・過ごし方についておさらいしておきましょう

お盆とは?

もともと仏教語の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を略したのが「お盆」です。語源は古代インドのサンスクリット語の「ウランバナ」といわれています。先祖の霊が家に帰ってくるとされ、各家庭でご先祖様を迎える準備をします。7月15日を中心に行われる先祖供養の仏教行事ですが、農繁期で忙しい7月を避け、1ヶ月遅れで行う「月遅れ盆」の慣習が生まれました。現在は一般的に8月13日〜16日(地方によっては15日までの3日間)の4日間を「お盆」といっています。

迎え盆

13日はお盆の初日。「お盆の入り」ともいいます。迎え火を焚き、ちょうちんをつけて先祖の魂を家に迎えます。先祖のお墓が近くにある場合は、お墓の前でちょうちんや灯籠を灯す場合もあります。

迎え火

先祖の魂が道に迷わず家に来られるよう、目印に焚く火。家の前や近くの道で麻幹や稲わらをたいまつのように立てて土器をにのせ、燃やします。

ちょうちん

火を焚けない場合は、家の入り口にちょうちんを下げます。「盆ちょうちん」といって、きれいな図柄が入ったものも多く見られます。

盆飾り

迎え盆の日は、迎え火を焚くまでにさまざまな飾りやお供えを準備しておくのがならわし。お墓はきれいに掃除をしておきます。家もきれいに整えてご先祖様をお迎えします。

だんご

地域によりますが、お供えの食べ物は毎日変わります。13日はあんこつきの「お迎えだんご」、14日はおはぎ、15日はそうめん、16日は「送りだんご」というのが一般的です。

特に決まりはありませんが、ききょうや萩、仏教でよく見られるはすの花を飾ることが多いようです。ほおづきは、その丸い形が「ご先祖さまの道を照らすちょうちんになる」といわれて好まれます。季節の花をアレンジしてもよいでしょう。

精霊馬

「盆棚」とも呼ばれます。お盆の間、家に迎え入れた先祖の霊は、精霊棚に祭ります。精霊棚は迎え盆の日に設置するのが一般的で、仏壇のそばや縁側に設置するのが一般的。地域や宗派によって、飾り付けなどの違いが見られます。

精霊棚

「盆棚」とも呼ばれます。お盆の間、家に迎え入れた先祖の霊は、精霊棚に祭ります。精霊棚は迎え盆の日に設置するのが一般的で、仏壇のそばや縁側に設置するのが一般的。地域や宗派によって、飾り付けなどの違いが見られます。

位牌

仏壇に祭ってある位牌を置き、位牌がいくつかある場合は並べます。位牌の前には、ご先祖さまの大切な足となる精霊馬を置きます。

ろうそく

位置などはさまざま。棚の上をほんのりと照らすろうそくの灯は、見るものの心を落ち着かせてくれます。

笹竹

神事などに用いられる笹竹を立てることで、神聖な空間であることを示します。これも地域によります。

お供え

お供えはおだんごなどの他に、季節の果物、砂糖菓子、個人の好きだった食べ物などを。花も添えましょう。

位牌がない場合は

仏壇が自宅にない場合など、位牌がないときは、簡単な精霊棚を作りましょう。小さなテーブルの上に和紙を敷き、お花やお水、精霊馬などを並べ、季節の果物などをお供えしてもいいでしょう。線香のかわりにお香でもよいでしょう。

灯籠流し・精霊流し

灯籠流しは、お供え物や飾りをのせた灯籠を海や川に流す行事。昔は先祖がいるあの世は海や川の向こうにあると考えられていました。先祖の霊を送るとともに、災厄を流すという意味もあるようです。精霊流しは、わらで作った舟を使います。どちらも精霊送りの伝統的な行事で、日本各地で様々な灯籠流し、精霊流しが行われます。

盆踊り

夏休みのお楽しみのイメージが強い盆踊りも、先祖の霊を慰め、お囃子で盛大に送り出すのが本来の意味でした。鎌倉時代に一遍上人が「念仏踊り」を広めたのが由来となっています。現在では、徳島県の阿波踊りのように観光行事としても有名な盆踊りもたくさんあります。

大文字五山の送り火

毎年8月16日の夜に、京都で行われる伝統行事。日本の精霊送りの行事として有名です。京都市外の5つの山に「大文字」、「妙・法」、「舟」、「左大文字」、「鳥居」をかたどった火を燃やします。

新盆とは?

前の年の盆以降に亡くなった人がいる場合は、その年のお盆が「新盆」になります。この場合は、お盆の準備も通常より早く始め、手厚く供養します。近親者は、その家に盆ちょうちんを送る風習がある地方もあります。お盆の間に近親者を招いてお経をあげてもらいます。迎え火は白無垢の盆ちょうちんで運んで飾り、このちょうちんは送り火のときに燃やす習慣があります。

「日本の行事を楽しむ12ヶ月 くらしの歳時記」 (主婦の友社刊)より

提供元:DCM株式会社

https://www.dcm-hc.co.jp/

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