2021年01月19日

大工道具 玄能・金鎚

by 与板利器工業株式会社

公開:2021.01.19 17:40 更新:2021.10.04 16:23

1.基本説明

玄能・金鎚とは

一般的には玄能(玄翁)、金鎚(金槌)、ハンマー等と呼ばれていますが、それぞれの使用・用途に合わせて種類が異なってきます。『鎚』は頭が金属製の時、『槌』は頭が非金属製(木、樹脂、ゴムなど)の時に使われます。ここでは一般的な商品の説明をさせて頂きます。(その他に地域独自品、メーカーのオリジナル品もあります。)

2.玄能の名前の由来

3.種類 両口玄能

主に釘を打つ・叩く時に使用します。両面で釘を打ちます。

頭部の形状は丸(楕円)、四角、八角などが有ります。頭の形状の違いは地域性が表れています。

表面の仕上には、黒色、磨き、ブロンズ、シルバー仕上などがあります。

頭の打撃面の一方の表面は平面で、もう一方は緩やかな凸面になっています。

釘を打つ時は平面で3/4位を叩き、最後に凸面で叩くことによって打ち付ける素地への打痕を軽減します。

サイズの表記はg(グラム)になります。元は匁(もんめ)でしたがg表記が一般的です。

丸玄能

全国で広く使われていますが、大きく分けて2種類の形状があります。打撃面が小判型は東型と言い東日本地区で、真丸型は地型と言い西日本地区で使用されています。頭の一方の表面は平面、もう一方は緩やかな凸面になっています。

頭のサイズは115g・150g・185g・225g・300g・375g・450g・570g・670g・750g

木柄の長さは300mm(115g~185g)・330mm(225g~375g)・360mm(450g~750g)

グラスファイバー柄は330mm(225g~375g)・360mm(450g・570g)

木柄は黒仕上、シルバー仕上は(300g~450g)グラスファイバー柄はシルバー仕上(225g~670g)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

四角玄能

全国で広く使われていますが、特に大工・職人が使用されています。頭の一方の表面は平面、もう一方は緩やかな凸面になっています。

頭のサイズは115g・150g・185g・225g・300g・375g・450g・570g・670g・750g

木柄の長さは300mm(115g~185g)・330mm(225g~375g)・360mm(450g~750g)

グラスファイバー柄は330mm(225g~375g)・360mm(450g~670g)

木柄は黒仕上、シルバー仕上、ブロンズ仕上は300g~670g。グラスファイバー柄はシルバー仕上(225g~670g)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

八角玄能

全国で広く使われています。狭い所や隅などでの横打ちが出来ます。頭部の黒仕上は東日本地区で、磨仕上は西日本地区で使用されています。頭の一方の表面は平面、もう一方は緩やかな凸面になっています。

頭のサイズは115g・150g・185g・225g・300g・375g・450g・570g・670g

木柄の長さは300mm(115g~185g)・330mm(225g~375g)・360mm(450g~670g)

グラスファイバー柄は330mm(225g~375g)・360mm(450g~670g)

木柄は黒仕上、磨仕上、ブロンズ仕上は225g~670g。グラスファイバー柄はシルバー仕上(225g~670g)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

ダルマ玄能

打撃面が大きく細工用に適しています。 ノミ打ちや彫刻の作業、下駄の製造等に用いられています。丸玄能の寸法を短くした形状になります。

頭の一方の表面は平面、もう一方は緩やかな凸面になっています。

頭のサイズは300g・375g・450g・570g・670g。黒仕上になります。

木柄の長さは330mmの1種類です。木柄は樫材が一般的です。

片八角玄能

片方が八角形状、もう片方が丸形状の玄能です。主に中部地方で使用さています。

丸玄能と八角玄能を合体させたような玄能で関東と関西の中間地域が表れています。

頭のサイズは300g・375gです。黒仕上になります。

木柄の長さは330mmの1種類です。木柄は樫材が一般的です。

4.種類 片口型

主に釘を打つ・叩く時に使用します。釘〆・カシメとしても使用できます。

頭の形状は打撃面は丸面になっており、一方の先端部は釘〆・カシメ等に使用する細型になっています。

頭の形状は地域性が反映されています。表面の仕上には、黒、ブロンズ、シルバー仕上などがあります。

打撃面の表面は平面で、もう一方は細型になっています。

釘を打つ時は平面で叩き、最後に片方の先細部で叩くことによって釘〆の役割をします。

先切金鎚・片口玄能

主に関西地区を中心に広く使用されています。サイズが小より大きい物が片口玄能になります。

頭のサイズは15mm・18mm・21mm・24mm・27mm、小(375g)、中(450g)、大(570g)

木柄の長さは300mm(15mm・18mm)・330mm(21mm~小)・360mm(中・大)

グラスファイバー柄は330mm(21mm~27mm)・360mm(小・中)になります。

木柄は黒仕上、シルバー仕上とブロンズ仕上は18mmから。グラスファイバー柄はシルバー仕上(21mm~中)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

船手(岩国型)玄能

主に中国地区を中心に広く使用されています。

頭のサイズは18mm・21mm・24mm・27mm、小(375g)、中(450g)、大(570g)

木柄の長さは300mm(18mm)・330mm(21mm~27mm)・360mm(小~大)

グラスファイバー柄は330mm(21mm~小)・360mm(中・大)

木柄は黒仕上、シルバー仕上、ブロンズ仕上は21mmから。グラスファイバー柄はシルバー仕上(21mm~大)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

船屋玄能(北海道型片口)

主に北海道や東北地方の沿岸部の地域で使用されています。側面部で横打ち出来ます。

頭のサイズは300g・375g・450g

木柄の長さは330mm

グラスファイバー柄は330mm(300g~375g)・360mm(450g)

木柄は黒仕上、シルバー仕上、ブロンズ仕上。グラスファイバー柄はシルバー仕上になります。

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

下腹鎚

関西より西地区、九州を中心に使用されています。頭の長さが短い形状ですので、狭い所での釘打ちに便利です。

頭のサイズは18mm・21mm・24mm・27mm・30mm・33mm・36mm。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(18mm)・330mm(21mm~36mm)木柄は樫材が一般的です。

九州型(ヤマキチ鎚)

主に九州地方を中心に使用されています。頭の長さが短い形状ですので、狭い所での釘打ちに便利です。

頭のサイズは18mm・21mm・24mm・27mm・30mm・33mm

木柄の長さは330mm

木柄は黒仕上、グラスファイバー柄はシルバー仕上(24mm~33mm)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

5.種類 箱屋鎚

主に釘を打つ・叩く時に使用し、打ち損じた時には釘抜きとして使用できます。

頭の形状は一方が打撃面、もう一方は釘抜きの形状になっています。

頭の形状は地域性が反映されています。表面の仕上は黒色仕上になります。

頭の打撃面は角型で釘を打ち込みやすいスベリ止め形状と丸形状の平面があります。

(釘を打ち込む時は平面で叩きます。もう一方は釘が曲がったり、打ち損じた時の釘抜き形状になっています。)

角箱屋鎚

全国的に使われていますが特に東日本で広く使用されています。

頭部の片方が打撃面で、釘を打つときに滑りにくい筋目が入っています。もう一方は釘抜き形状になっています。

頭のサイズは18mm・21mm・24mm。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(18mm)・330mm(21mm・24mm)。

木柄は樫材が一般的です。

丸箱屋鎚

主に関西から九州地方で使用されています。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は釘抜き形状になっています。

頭のサイズは小(225g)・中(300g)・大(375g)黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(小)・330mm(中・大)

木柄は樫材が一般的です。

名古屋型箱屋鎚

主に中部地方で使用されています。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は釘抜き形状になっています。

打撃部は丸箱屋の形状、釘抜き部は角箱屋の形状になっています。関東と関西の中間地域が表れています。

頭のサイズは小(225g)・中(300g)・大(375g)黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(小)・330mm(中・大)

木柄は樫材が一般的です。

6.種類 細工鎚

各種作業に合わせ使用します。

唐紙鎚

先端の刃部でカシメや歪取り、襖の張り替えや建具の組み立てなどに使用します。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は潰れたような刃部になっています。 

頭のサイズは12mm・15mm・18mm・21mm。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(12mm~18mm)・330mm(21mm)

木柄は樫材が一般的です。

武力屋鎚

先端の刃部でカラクリ等の叩き込み大変使い易く板金作業・電気工事など多用途に使用されます。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は潰れたような刃部になっています。 

頭のサイズは15mm・18mm・21mm・24mm。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(15mm・18mm)・330mm(21mm・24mm)

木柄は樫材が一般的です。

瓦屋鎚

細長く尖った先端部で瓦の針金を通す穴を開けたり、ハツリ・ボロ落し使用されます。

二重クサビで抜けにくく、柄には目盛が刻んで有る角型の柄を使用しています。

頭のサイズは15mm・18mm。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(15mm・18mm)

木柄は樫材が一般的です。

舞台屋鎚

舞台装置作製・解体作業等の使用に最適です。

止め金クサビ(L型クサビ)を2カ所に使用しており、ハードな作業をしても頭が抜けにくい構造です。

打撃部は21mmの四角に、もう片方は釘抜き形状になっています。磨仕上です。

木柄は360mmです。

木柄は樫材が一般的です。

仮枠ハンマー

建築作業、土木作業等に全国で広く使用されています。

打撃面は丸形状、もう片方は釘抜き形状になっています。

打撃面に釘を打つ時に滑りにくい筋目加工されているものは東日本、平面は西日本で使用されています。

頭のサイズは小・中になります。黒仕上、ブロンズ仕上、金メッキ仕上、ステンレス製があります。

木柄は450mm、600mmが選べます。その他にグラスファイバー柄、スチールパイプ柄もあります。

7.種類 板金

歪取り・ならし・伸ばしなどの板金作業・自動車板金等の用途に合わせてに使用します。

板金ハンマー

屋根板金、自動車板金、ダクト、製函、電気工事等の多用途に使用されます。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は潰れたような刃部になっています。

頭のサイズは18mm・21mm・24mm

グラスファイバー柄は330mm(18mm~24mm) 黒仕上とブロンズ仕上があります。

木柄は450mm、600mmが選べます。その他にグラスファイバー柄、スチールパイプ柄もあります。

ならし鎚

歪取り・ならし・伸ばしなどの板金作業、自動車板金の打ち出し等に使用されます。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は潰れたような刃部になっています。

頭のサイズは18mm・21mm・24mm。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm(18mm)・330mm(21mm・24mm)

グラスファイバー柄は330mm(21mm)

木柄は樫材が一般的です。グラスファイバー柄は軽量で使い易く木柄の3倍の強度・耐久性があります。

屋根屋ハンマー

屋根の板金作業等に使用されます。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方はチスタガネの様な形状になっています。 

頭のサイズは中・大です。 磨き仕上げになります。

木柄(360mm)、グラスファイバー柄(360mm)、パイプ柄(330mm)

8.各種金鎚

レンガ・ブロック・石材のハツリ・割りの作業、錆、バリ落しなど用途に合わせて使用します。

トンカチ鎚

刃の部分でハツリ・割り作業に広く使用されています。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は平刃になっています。

頭のサイズは21mm・24mm。黒仕上になります。

木柄の長さは330mm。木柄は樫材が一般的です。

ブロック鎚

刃の部分がトンカチよりも長く、ブロック等を割り易い形状です。ハツリ・割り作業に広く使用されています。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は平刃になっています。

頭のサイズは21mm・24mm。黒仕上になります。

木柄の長さは330mm。木柄は樫材が一般的です。

ブロックハンマー

刃の部分が縦刃になっているので横はよりもハツリ・割り作業が遣りやすくなっています。

頭部の片方が打撃面で、平面になっています。もう一方は縦型平刃になっています。

頭のサイズは21mm。黒仕上になります。

木柄の長さは330mm。木柄は樫材が一般的です。

ケレンハンマー

片側の刃の部分が縦刃、もう片方が横刃になっています。ハツリや錆・バリ・ガリ取り作業に使用されます。

頭のサイズは中です。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm。木柄は樫材が一般的です。

カストリハンマー

片側の刃の部分が横刃、もう片方が先細になっています。錆・バリ・ガリ取り作業に使用されます。

頭のサイズは中です。黒仕上になります。

木柄の長さは300mm。木柄は樫材が一般的です。

9.使い方

軽く叩く

柄の端(鎚の付いている反対側)を握って持ちます。

肘を支点として、手首にはずみをつけて叩きます。

強く叩く

柄の端(鎚の付いている反対側)を握って持ちます。

腕の付け根を中心に腕を半径に動かせばもっと力が入ります。

こうするとコンパスと同じで、中心が定まった半径で円を描くため確実に打ち込めます。

両手で持って叩く

両手で持つ場合は柄の端の方を両手で握って持ちます。

大鎚の場合は腰を支点として上体にはずみをつけて打ちます。

10.使用上の注意

・安全のために必ずヘルメット、安全メガネ等を着用してください。

・使用する際には周りに人が居ないことを確認して行ってください。玄能・金槌を振り上げる際に、人にぶつけることを防ぐように注意してください。

・テコ、バールの代わりに使用しないでください。(特に、角・丸箱屋、ネイルハンマー、仮枠ハンマー等)

・角打ち、斜め打ちなどは危険です。正しく打撃面の中央で叩いてください。

・用途に合った形状、サイズで正しく使用してください。

・使用する前に玄能の頭と柄のぐらつきが無いかを確認してから使用してください。

※木柄の場合、柄が緩むようであればクサビを打つと抜けにくくなります。

・保管は必ず道具箱か指定の場所で、気温の高いところは避けて保管してください。

・補修のくり返しによって、ハンマーの頭部の全長が新品時より3mm以上短くなった時は破棄処分にしてください。

11.お手入れ方法

玄能・金槌の使用後は、油を付けた布で拭き取ってください。

更に、乾いた布で綺麗に拭き取ってください。

商品紹介

与板利器工業株式会社 クラフトハウス ネールハンマー マグネット付 小(230g)

頭部:炭素工具鋼

柄:スチールパイプ製

グリップ:ゴム製

片手でも釘が打てるマグネット付です。

JAN 4979717336015

株式会社 須佐製作所 王将 マグナムハンマー 八角玄能 375g

頭部:炭素工具鋼、シルバー仕上

柄:グラスファイバー製

グリップ:ゴム製

釘を打ち損じた時に柄の付け根を守るポリカーボネイト製のプロテクター付です。摩耗による柄の損傷を軽減します。

写真は375gですが、他に225g・300g・450g・570g・650gがあります。

JAN 4953673008124

株式会社 須佐製作所 王将 マグナムハンマー 船手玄能 27mm

頭部:炭素工具鋼、シルバー仕上

柄:グラスファイバー製

グリップ:ゴム製

釘を打ち損じた時に柄の付け根を守るポリカーボネイト製のプロテクター付です。摩耗による柄の損傷を軽減します。

写真は27mmですが、他に21mm・24mm、小・中・大があります。

JAN 4953673008520

提供元:与板利器工業株式会社

新着記事