2021年11月07日
by DCM 編集部 |
公開:2021.11.07 03:00 更新:2021.12.02 09:39
「防災とよく聞くけれど、どういう意味か詳しくは知らない...」
「防災と減災はどう違うの?」
と疑問をお持ちの方もいるでしょう。
台風や地震に、大雨や洪水などさまざまな災害が頻繁に発生することから、「災害大国」と呼ばれる日本。
災害から命を守るためにも、防災に関する知識を身につけておきましょう。
そこで今回は、防災という言葉の意味を解説します。
また、災害時によく使用する防災用語も紹介するため、防災に関する知識を増やしたい方はぜひ参考にしてください。
1961年に制定された災害対策基本法では、防災を以下のように定義しています。
「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。」
防災の意味を簡単に説明すると、
「災害を未然に防止すること」
「災害が発生した際の被害を未然に防ぐこと」
となります。ここで触れる災害には、主に自然災害と人為災害や特殊災害の3つがあります。
【自然災害】
・地震
・台風
・津波
・台風
・洪水
・噴火
・竜巻
・干ばつ など
【人為災害】
・爆発
・交通事故
・列車事故
・火災 など
【特殊災害】
・化学兵器
・原子力事故
・核兵器テロ など
防災と似ている言葉に、減災があります。減災とは「災害による被害を最小限に抑えること」を意味する言葉です。
1995年に発生した阪神・淡路大震災で大きな被害を受けたことを機に、日本中で減災という考えが普及しました。
防災と減災の違いは、災害による被害の発生を前提としているかどうかです。
防災は、災害による被害を起こらないようにできることを前提としています。それに対し、減災は、災害による被害が発生することを前提としている言葉なのです。
災害には自然災害が含まれているため、災害や災害による被害を未然に防ぐことは難しいのが現状です。
そのため、防災と減災の両方に取り組み、災害が起こった際の被害を抑えることが重要とされています。
ここでは、災害全般に関する防災用語の中でも、使用頻度の高い用語を紹介します。いざというときのために、基本的な言葉の意味を理解しておきましょう。
一時(いっとき)集合場所とは、避難場所に移動する際に一時的に集合する場所です。避難する集団を形成することを目的としています。
一時集合場所は人々の安全が確保されるスペースを有していなければならず、自治体が独自に公園や広場、児童遊園に校庭や神社などを選んでいます。
自治体によっては一時集合場所に、目印となる標識を設置している場合があります。一時集合場所がどこなのか分からない場合は、自治体の公式サイトを確認したり、自治体に問い合わせたりしましょう。
エコノミークラス症候群とは、長時間の同じ姿勢が原因で血行不良を起こし、血のかたまりが肺の血管に詰まる病気です。正式には「肺血栓塞栓症」と言います。
災害の発生時に、車などの狭い場所で長時間じっとしていることで起こります。体内に血のかたまりができた時点では自覚症状は少なく、肺の血管に詰まってから気付くことがほとんどです。
命を落とす可能性もあるため、避難する際はエコノミークラス症候群への予防策が必要です。
【エコノミークラス症候群への予防策】
・足の指を開いたり閉じたりする
・地面につま先をつけた状態でかかとを上下に動かす
・膝を両手で抱えることで足先を浮かせて、足首を回す
・ふくらはぎを軽く揉む
・水分をこまめに摂る
・就寝時は足を上げる
・ゆったりとした服装をして、体を締め付けない など
全国瞬時警報システム(Jアラート)とは、都道府県や市町村の人手を介さずに屋外スピーカーで緊急情報を放送するシステムです。
国が人工衛星を経由して、全国の市区町村に緊急情報を送信し、防災行政無線が自動で起動することでスピーカーから情報が流れます。
全国瞬時警報システムは、地震が発生したとき以外に、ミサイルが着弾する可能性があるときなどにも使用されます。
【全国瞬時警報システムの放送例】
・緊急地震速報
・特別警報
・弾道ミサイル情報
・航空攻撃情報
・ゲリラ、特殊部隊攻撃情報
・大規模テロ情報 など
ハザードマップとは、災害が発生した際の被害範囲をまとめた地図です。全国の市区町村が作成しており、国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトから確認できます。
災害が発生する前にハザードマップを確認しておくと、避難場所や避難経路を把握できるため、安全に避難することが可能です。
お住まいの都道府県と市町村を選択するだけで、災害種類別にハザードマップを簡単に確認できます。
ハザードマップには8つの種類があるため、お住まいの地域にはどのような危険があるのか確認しておきましょう。
【ハザードマップの種類】
・洪水ハザードマップ
・内水ハザードマップ
・ため池ハザードマップ
・高潮ハザードマップ
・津波ハザードマップ
・土砂災害ハザードマップ
・火山ハザードマップ
・地震防災、危険度マップ情報
災害用伝言ダイヤルとは、大きな災害が発生した際に設置される「電話を使用した音声による伝言システム」です。
「171」に電話をかけて音声の指示に従うと、伝言を録音や再生することができます。
災害が発生した際に、家族や知人の安否を確認したい方も多いでしょう。相手の電話番号を知っていれば、相手が録音した音声を再生できるので安否確認ができます。
一般的に、災害が発生した際は通信規制がおこなわれるため、電話がつながりにくくなります。
しかし、災害用伝言ダイヤルは被災地以外に設けられている伝言センターに接続するため、災害時でも比較的安定した回線状況です。
多くの台風が夏から秋にかけて日本に近づいてきます。台風が上陸したときに、適切な行動を取るためにも防災用語を覚えておきましょう。
高潮(たかしお)とは、台風などの低気圧によって、海の水面が通常よりも上昇することです。
高潮で水面が上昇しているときに高波が発生すると、通常は波が及ばないエリアにも波が押し寄せます。
台風が接近してきたら、海岸付近の低地に住む人は気象情報に警戒しましょう。なお、高潮が発生する原因は、「吸い上げ」と「吹き寄せ」の2つです。
吸い上げとは低気圧で海面が上空に吸い上げられる現象で、吹き寄せとは強風が沖から海岸に吹くことで海岸付近の水位が上昇する現象を指します。
高潮浸水想定区域とは、想定できる最大規模の高潮が発生した場合、浸水が想定される区域です。
浸水が想定される区域と想定される深さや浸水が継続する時間を都道府県が図化したものは、高潮浸水想定区域図と呼ばれます。
高潮浸水想定区域図は各都道府県の公式サイトで確認できるため、住んでいる地域が該当していないか確認しておきましょう。
ただし、該当していない地域であっても、浸水する可能性はあります。高潮浸水想定区域でないからと油断せずに、高潮に備えましょう。
南海トラフ地震は「いつ発生してもおかしくない状況」と言われています。適切にニュースやラジオから情報を収集するためにも、地震に関する防災用語を理解しておきましょう。
震度とは、地震による揺れの強さを意味する言葉です。強さは計測震度計によって観測され、気象庁より発表されます。
震度は揺れの大きさによって、10段階に分類されます。
【震度階級】
・震度0:計測震度計には記録されるが、人は揺れを感じない。
・震度1:屋内で静かにしている人の中には、わずかに揺れを感じる人がいる。
・震度2:屋内で静かにしている人のほとんどが、揺れを感じる。
・震度3:屋内で過ごしている人のほとんどが、揺れを感じる。
・震度4:ほとんどの人が揺れに驚く。
・震度5弱:ほとんどの人が揺れに恐怖を感じる。
・震度5強:物につかまらないと、揺れが激しくて歩けない。
・震度6弱:揺れが激しくて立てない。
・震度6強:這っていないと動けない。
・震度7:這っていないと動けない。
マグニチュードとは、地震の大きさを意味する言葉です。マグニチュードの大きい地震が発生しても、震源地から位置する場所が離れていれば、揺れを感じない場合があります。
マグニチュードは1大きくなると、地震の大きさも約32倍大きくなります。つまり、マグニチュード8.0の地震はマグニチュード7.0の地震の32倍もの大きさとなるのです。
なお、マグニチュードの数値には上限がありません。2011年に発生した東日本大震災のマグニチュード9.0が日本で計測された最大数値です。
【過去に発生した地震のマグニチュード】
・阪神、淡路大震災:マグニチュード7.3
・鳥取県西部地震:マグニチュード7.3
・岩手、宮城内陸地震:マグニチュード7.2
・東日本大震災:マグニチュード9.0
・熊本地震:マグニチュード7.3
液状化現象とは、地震が発生した際に地盤がせん断強度を失うことで液体状になる現象です。
大きな建物が沈んだり、小さな建物が浮き上がったりするため、場所によっては通行が難しくなります。
災害が発生した際に安全に避難するためにも、液状化現象が起こりやすい地域をハザードマップで確認しておきましょう。
【液状化現象が起こりやすい場所】
・埋立地
・旧沼地
・旧河道
・河川の沿岸
・自然堤防
・砂丘間低地
今回は、防災の意味や防災用語について説明しました。
災害は人の手で防げるものばかりではないため、発生後の被害を抑えるための対策が必要です。防災に関する知識を身につけて、安全に避難できるようにしておきましょう。
災害時には停電によって足元が見えないことも多くなっています。安全に移動するためには、これを機に「懐中電灯」や「ランタン」を備えておくといいでしょう。
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