2022年01月04日

初心者でもできる多肉植物の増やし方!葉挿しや株分けなど失敗しないためのポイントも解説

by DCM 編集部

公開:2022.01.04 06:00 更新:2022.01.05 14:35

多肉植物を増やす方法は、大きく分けて、葉挿し・挿し木(茎挿し)・株分けの3つです。正しい手順でおこなえば、初心者でも簡単に多肉植物を増やすことができます。

多肉植物の栽培をするうえで、増やすことも楽しみ方の1つです。お気に入りのものをたくさん飾れますし、万が一枯れた場合の予備にもなります。さらに、増やした多肉植物で、寄せ植えをするのもおすすめです。

今回は、多肉植物の増やし方について、手順や注意する点などを詳しく紹介します。

多肉植物は簡単に増やせる

多肉植物を増やす3つの方法は、どの方法も意外と簡単です。ポイントは、品種ごとの生育期を把握すること。増える際には大きなエネルギーを必要とするので、生育が盛んな時期に作業したほうが、成功しやすくなります。

増やす作業自体は、やりかたさえ知っていれば、難しい作業はありません。特別な道具も不要です。多肉植物の増やし方の基本を解説します。

多肉植物を増やす3つの方法

多肉植物を増やす方法は、葉挿し・挿し木(茎挿し)・株分けの3つですが、いずれの増やし方も、多肉植物の一部を使うという共通点があります。

多くの多肉植物で可能な葉挿しは、切り取った多肉植物の葉を使って増やす方法です。状態がよければ、自然に落ちた葉を使用することもできます。

挿し木(茎挿し)は、3つの増やし方の中で最も簡単な方法です。カットした茎を使用します。仕立て直しや、徒長した際など、日々のお世話もかねて作業してみてはいかがでしょう。

株分けは、多肉植物の苗を小さな塊に分離して増やします。鉢から苗を抜き取る作業があるため、植え替えの際に同時におこなうのがおすすめです。

生育の盛んな時期に増やす

多肉植物を増やす際、成功率をあげるために大切なことは、生育が盛んな生長期に増やすことです。ただし、多肉植物の生長期は、生育型によって異なります。

多肉植物の生育型は、春秋型、夏型、冬型の3つです。それぞれに、生育が旺盛な生長期と、生長のためのエネルギーを蓄える休眠期があります。

春秋型種は、春と秋が生長期なので、春なら4月ごろ、秋なら9月ごろに増やしましょう。

夏場が生長期となる夏型種は、晩春~初夏の間が増やす作業におすすめの時期です。一方、気温が低い時期は生長が鈍くなるため、晩秋~初春の時期は、増やすことが困難になります。

冬型種は、晩秋の11月頃が、最適な時期です。

増やすために必要な道具

多肉植物を増やすために必要な道具は、それほど多くありません。

基本的に必要な道具は、葉や茎などの増やす多肉植物の部位、多肉植物用の培養土、根付かせるためのプランターなどの容器だけです。細かい作業になる場合もあるので、ピンセットを用意しておくこともおすすめします。

葉挿しで使用するプランターは、お皿やバットなどの作業性のいい平たい容器がおすすめです。葉を寝かせて並べるだけなので、深さはあまり必要ありません。

挿し木(茎挿し)と株分けの作業では、ハサミも必要です。使用するハサミは、消毒しておく必要があります。挿し木(茎挿し)では茎を、株分けでは株や古い根を切るので、切り口から雑菌が入らないようするためです。

葉挿しは多肉植物定番の増やし方

多肉植物を増やす定番の方法である葉挿しは、品種の特徴、正しい手順を知れば、初心者でも簡単に増やせます。

また、葉挿しの作業自体は手間がかからないので、葉挿しがうまくいくかどうかわからない場合も、気軽にチャレンジしてみましょう。

葉挿しの際は、多肉植物の葉を土に寝かせて並べるので、葉っぱが土のベッドで眠っているようで、見た目もかわいらしいですよ。

葉挿しの手順

葉挿しの手順はシンプルです。まず、平たい容器に培養土を入れ、表面をならします。平たい容器は土がこぼれやすいので、下に新聞紙などを敷いておけば、室内の作業でも気になりません。

あとは、増やしたい多肉植物の葉を切り取って土のうえに並べるだけです。

葉挿しに使用する葉は、萎びて乾燥した葉ではなく元気な葉を選びます。色艶のいい、健康的な葉なら、落ちた葉でも大丈夫です。ただ、落ちた葉を使用する場合は、なるべく落ちてすぐの葉を使います。

多肉植物から葉を取る際は、葉のつけ根を傷つけないように指でやさしくもぎります。水気を多く含む葉は上手に取ることが難しいため、水やりを控えて乾燥させてから葉を取るか、水気の少ない内側の葉を使いましょう。

切り取った葉は、土のうえに仰向けで並べます。葉のつけ根を土に浅く埋めれば完成です。

根や新しい株が生えてくるまでは、水やりの必要はありません。日光もあまりいらないため、半日陰の場所で管理します。根が出てきたら、水をあげはじめましょう。その後、株がある程度の大きさまで生長したら、鉢に植え替えます。

葉挿しに向く多肉植物

葉挿しに向いている多肉植物は、エケベリア属、パキフィツム属、センペルビウム属などの属種です。とくに、発育のよさが特徴のエケベリア属は、葉挿しに向いている品種が多い属種です。

分厚い葉が特徴の「桃太郎」や「花うらら」などは、葉挿しで簡単に増やせます。

一方、同じエケベリア属の品種でも、薄い葉が特徴の「カンテ」や「七福神」は、葉挿しの成功率は低めです。

土に挿すだけの挿し木(茎挿し)

挿し木(茎挿し)は、土に茎を挿すだけで多肉植物を増やせるため、3つの増やし方の中で、1番簡単な方法です。

また、茎を乾燥させる際の容器をおしゃれなものにすれば、挿し木(茎挿し)の段階からインテリアとして成立します。あるいは寄せ植えに応用すれば、ミニサイズの生け花として楽しめるのでおすすめです。

挿し木(茎挿し)の手順

挿し木(茎挿し)は、徒長した茎を、3~5センチくらいの長さでカットして使用します。茎をカットする際は、切り口に雑菌が感染するのを防ぐため、殺菌済みのハサミを使用しましょう。

カットした茎の下部についた葉を、2~3枚取り除くことがポイントです。葉がついたままだと、葉が土に埋もれ、腐食の原因になってしまいます。

カットした茎は、まずは土を入れていない瓶やカップに挿し、切り口を乾燥させながら、発根を待ちます。管理は風通しのいい日陰でおこない、発根したらプランターに植え替えて完成です。

植え付け直後は、水やりを控えます。直後から水やりをすると湿気により株が弱ってしまうためです。1週間~10日くらい時間をあけてから、たっぷりと水を与えましょう。

挿し木(茎挿し)に向く多肉植物

挿し木(茎挿し)に向く多肉植物の品種は、セダム属、カランコエ属、グラプトペタルム属などの属種に多い傾向があります。

たとえばセダム属なら、「乙女心」や「オーロラ」などが、挿し木(茎挿し)に向く品種です。

アガベ属やリトープス属など、長い茎を持たない属種には向いていません。

分身の術のような株分け

株分けは、生育中に出てくる子株を根ごと分離させ、多肉植物を増やす方法です。

生長した株を分離させる、分身の術のような方法なので、通常の植え替え手順とほぼ変わりません。難しい作業はなく、初心者でも簡単に増やせる方法です。植え替え作業をする際に、同時に株分けをおこなえば、手間も省けます。

株分けの手順

株分けの手順は、植え替えと同様です。作業前は断水し、土や根を十分に乾燥させておきます。

まずは、株分けをする多肉植物をプランターから取り出す作業です。土が固まっていて抜けにくい場合は、ゴムハンマーなどで周囲を軽くたたいてやると、抜き取りやすくなります。

続いて、根切りの作業です。抜き取った株の根についた土を丁寧に落とし、古い根を清潔なハサミで切り落としましょう。根切りをすることで、新しい根がすくすくと生長します。

根の処理が終わったら、いよいよ増やすための子株を切り離す作業です。指や清潔なハサミで、親株から子株を丁寧に切り離します。ただし、直径2センチに満たない小さすぎる子株は、育ちにくいため、株分けには向きません。

培養土を入れた鉢へ子株を植え付ければ完成です。植え付け直後の水やりは、根腐れの原因になるため、1週間ほど時間をあけて水を与えます。

株分けに向く多肉植物

株分けに向く多肉植物は、ハオルチア属、アカベ属、センペルビウム属、エケベリア属などの属種です。

たとえばハオルチア属なら「オブツーサ」や「トランスシエンス」などの品種が、株分けに向いています。

基本的に、子株がある多肉植物は、株分けで増やすことができると覚えておきましょう。

多肉植物を増やす際に失敗しないためのポイント

多肉植物を増やす際に失敗を防ぐ3つのポイントがあります。切り口の処理、水やりの方法、置き場所の選定です。

直後に水やりをしない、日光に当てないなど、いつものお世話と異なる点もあるので、多肉植物を増やす前にぜひ確認してくださいね。

切り口はしっかりと乾燥させる

葉挿しや挿し木(茎挿し)で多肉植物を増やす際に注意するポイントは、切り取ったあとの切り口をしっかりと乾燥させることです。

多肉植物の切り口は、人間で例えるなら切り傷と同じです。傷口が乾燥すると、かさぶたが表面を被覆するように、多肉植物の切り口も、乾燥させることで表面が保護され、新たに生長する準備が整います。

雑菌の侵入を防ぐためにも、茎の切り口はしっかりと乾燥させてから、土に植え付けましょう。

水やりは根が生えてから

多肉植物を増やした直後は、水やりを控え、発根後に水を与えるようにします。発根していない多肉植物は、水を十分に吸い取れず、土の中に残った水分が腐食の原因になるからです。

また、多肉植物は葉に水分を蓄えているので、しばらく水を与えなくても問題ありません。苗を増やした直後は、水やりを完全にやめるか、水を与える場合でも、少量にしましょう。

置き場所に注意

多肉植物を育てる際、普段はあまり気を使わない置き場所ですが、増やす際には注意が必要です。

増やしたばかりの多肉植物は、日光をほとんど必要としません。そのため、発根し株が生長するまでは、半日陰に置いて管理します。日光が当たる時間帯は、カーテン等で遮光をし、光を弱めてあげましょう。

ただし、ある程度株が育ってきたら、太陽がしっかりと当たる明るい場所に移動させる必要があります。株が大きくなっても半日陰に置いたままにしていると、日光が足りず、徒長の原因となってしまうので、注意しましょう。

増やすとさらに多肉植物栽培を楽しめる

葉挿し・挿し木(茎挿し)・株分けと3つの増やし方全ての特徴を把握しておけば、ほとんどの多肉植物を失敗なく増やすことができます。

また、増やすのに失敗しないためのポイントは、どの増やし方にも当てはまるので、作業前にしっかり確認しておきましょう。

多肉植物は初心者でも簡単に増やせます。品種に合わせた増やし方で、お好みの多肉植物を部屋いっぱいに飾ってみてはいかがですか。

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