2021年12月07日
by DCM 編集部 |
公開:2021.12.07 01:00 更新:2021.12.28 13:45
地震や台風などの災害時には、大きな割合で停電が発生します。
「どうして災害の被害は少ないのに、停電になるのだろう?」
と感じたことのあるかたもいるのではないでしょうか。
停電にはいくつもの原因が考えられ、それらの原因が複合的に組み合わさって「停電」を引き起こすケースがあるのです。
今回は、停電を引き起こす7つの原因と電力復旧の仕組みについて解説します。停電の原因と復旧方法を知って、急な停電にも焦らないために準備をしておきましょう。
停電の理由はさまざまですが、主な原因は以下の7つに分類できます。
①雷が落ちた
②台風や暴風雨で断線した
③地震で電柱が倒れた
④大雪で電線が切れた
⑤鳥の巣や物が電線に触れてショートした
⑥車両が衝突して断線した
⑦近隣の住宅火災の被害に遭った
停電の原因には、こんなにも多くの原因が考えられるのです。それぞれの停電の原因を詳しく知って、停電に備えておきましょう。
雷が持つ最高電圧は1億ボルトにも達するといわれています。この莫大なエネルギーを持つ雷が電線や変圧器に落ちることで、送電線が断線したり、ショートしたりするのです。
また、電柱に落ちた電力がコンセントを伝わって電化製品をショートさせるケースも報告されています。
雷が近くで鳴っているときは、電化製品のプラグは極力抜いて、故障リスクを減らしておきましょう。
今では、ショートしてしまうリスクを減らすことができる「雷ガードタップ」なども販売されいるので、導入することをおすすめします。
台風や暴風雨によって、送電線が強風に耐えきれずに断線して、停電してしまうことも考えられます。
重量のある物が飛ばされるほどの台風ともなると、飛んできた物によって、断線してしまうリスクがあるのです。
また、大雨が続くと土砂崩れによって、電柱ごと倒れてしまい、断線してしまうこともあります。
各地域で発信する土砂災害警戒情報などを確認して、土砂災害のリスクが高い場合は、停電のリスクも考えておきましょう。
規模の大きい地震ともなれば、家屋が倒壊するのみならず、電柱そのものが倒れて、電線に被害が出ることもあります。
また、土砂崩れや道路の陥没などでも電線の断線や損壊のリスクが予想されるでしょう。
震度の強い地震が発生したときには、一時的に地面が柔らかくなる液状化現象に陥ることもあります。
その結果、家屋や電柱の地盤の崩壊をもたらし、停電になってしまうのです。
東北地方や日本海側の寒い地域では、大雪による停電のリスクが高くなります。短い時間で多くの雪に見舞われると、電線の上に雪が高く堆積していくのです。
その結果、雪の重さに耐えきれなくなった電線が切れてしまい、停電してしまいます。
また、雪が積もって重くなった電線同士がぶつかってしまうこともしばしば。電線同士がぶつかることで、ショートしてしまい、停電の原因にもなります。
電柱のような高い場所には、鳥が巣を作ってしまうこともあるでしょう。鳥の巣には、木の枝やハンガー・プラスチックのごみなど、あらゆる素材が使われます。
とくに、金属製の素材は、電線に触れるとショートしてしまう原因になります。また、木製の素材が燃えてしまい、それが電線に引火してしまうリスクも否定できません。
鳥の巣は、とくに温かい春から夏にかけて活発に作られるので、温かい時期に原因不明の停電に見舞われたら、鳥の巣が原因という可能性も考えておきましょう。
車両事故で電柱が倒れて断線してしまうと、もちろん停電してしまいます。ただし、これは大きな車両事故の場合に限られる停電です。
また、車両事故によって送電線が断線していなくても、車両の回収作業が終わるまでは、意図的に停電させるケースもあります。
車両の回収作業中に、送電線が断線して、周りの環境に被害が及んでしまうリスクを避けるための措置です。
周囲で車両事故があると、停電のリスクもあるということを覚えておきましょう。
電柱のそばで火災が発生して、送電線に引火してしまうこともあります。電線が火災の被害に遭い破損すると、停電してしまうのです。
また、消防作業の最中に計画的に停電させて、消防作業を円滑に行うことも考えられます。近隣で火災が起きた際は、停電のリスクも考えておくべきです。
発電された電気は発電所から変電所に送られ、そこで家庭用の電圧に調節されてから送電されます。
日本の送電の仕組みは、「2回線直列配列送電線」と呼ばれる送電方法です。
この送電方法は、2回線で送電することで、どちらか一本が断線しても停電しないという強みがあります。
また、「系統安定システム」の導入によって、送電線が2本とも断線してしまっても、停電の範囲を小さく抑えられるシステムも導入しています。
これらの送電システムの確立によって、災害時にも停電が深刻化しにくい暮らしやすい街づくりが実現されているのです。
停電の原因を知ったところで、今度は停電が復旧するメカニズムを学んでいきましょう。停電が復旧するまでの手順は、2つの工程に分けられます。
①変電所間で送電して、故障原因を探索
②停電の原因である手前の場所まで送電
この機会に、停電から電力復旧までの過程を知っておきましょう。
停電が起きたら、故障が発生した箇所を特定する必要があります。まず、変電所に近い地域から順番に送電して、きちんと通電するか確認。
うまく通電しない地域を発見したら、最も近い変電所間で連携して具体的な故障箇所を特定します。
故障箇所のある地域を特定したら、その地域の送電を一時ストップ。そして、最も近い2箇所の変電所を使って、一区画ごとに送電できるか確認するのです。
このような方法で、故障箇所のある地域を特定し、その手前の地域までは電力を供給できます。
つまり、故障箇所が発見された以外の地域では、早急に停電が復旧する仕組みなのです。また、故障箇所の修理には実際に電力会社の職員が出向き、迅速な電線の修理を試みます。
日本では地震や津波・台風などの災害時以外にも、事故や火災・鳥の巣が燃えるなどで停電になる場合があります。
そのため、いつ停電になっても慌てないように、日頃から備えておくようにしましょう。
日本の送電方法は、電線の1本が断線しても、もう一本がそれをカバーする方式を採用しています。また、停電の範囲を小さく抑えられるシステムも導入しています。
この記事を読んで、停電の原因と電力復旧のメカニズムを知って、停電時でも焦らないような準備をしておきましょう。
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