2021年02月22日

「初めての英語ノート」決定版!まん中が広い英習罫 開発秘話

by コクヨ株式会社

公開:2021.02.22 18:10 更新:2021.10.04 16:23

2020.03.23

2020年4月からの小学校で英語の授業が始まるにあたって、1月から発売している小学生向けの英語学習ノート「真ん中が広い英習罫」。はじめてアルファベットを書き始める子どもたちに向けて、罫線の幅をあえて等間隔ではなく、2:3:2にした理由、そしてそれを決めるに至る開発秘話を、商品企画の担当者に聞きました。

【話を聞いた人】

コクヨ株式会社ステーショナリー事業本部マーケティング本部

商品企画部東京企画グループ

清水 陽芳

【話を聞いた商品】

キャンパスノート(用途別)まん中が広い英習罫(8段/10段)

英語学習に必要な4本の罫線の間隔を2:3:2と、あえて2本目と3本目の間を広くした新しい英習罫

小学校における英語必修化に伴う変化を分析

Q:どうして小学生向けの英習罫ノートを新しく作ろうと思ったのですか?

話は昨年(2019年)1月にさかのぼります。商品企画部は大阪本社と東京品川オフィスの両方にメンバーがいますが、そのうち私が所属している東京企画グループについては、それまで商品別だったチーム編成を改め、小学生チーム、中高生チーム、社会人チームに再編成されました。商品を企画する担当者が商品に詳しいのは当たり前の話で、それ以上に今重要なのは、使ってくださる方々が置かれている状況やニーズの変化に徹底的に詳しくなることだ、という考え方でチーム編成が変わったんです。

小学生を担当することになった私たちがまず取り組んだのは、最近の小学校、小学生、そしてその親御さんたちを取り巻く環境や社会情勢について知ることでした。

その中で一番大きな変化として浮かび上がってきたのが、2020年4月に10年ぶりに行われる小学校の学習指導要領改訂の全面実施です。2019年まで5~6年生対象に行われていた「外国語活動」が、英語の授業として必修科目となり、プログラミングの授業も開始され、文科省が推進する「主体的で対話的で深い学び」を実現するべく、今よりもさらにアクティブラーニングの授業が増えてくることが想定できました。

そうなると、学校で英語のノートが必要になってくるのではないか、そして、学校で配布されるプリントの保管や整理にさらなる工夫の余地がでてくるのではないか。私たち小学生チームとして、取り組む課題をこの2つに特定して商品の企画を始めました。これが2019年の春先のことです。

Q:それまで小学生向けの英語のノートはなかった?

いえいえ、もちろんありました。

しかし、2019年まで小学校5~6年生を対象に行われていた「外国語活動」は「話す」「聞く」がメインだったので、授業でノートが使われるということがあまりなかったため、小学生向けの英語ノートを必要とする人の絶対数がそれほど多くはなかったんだと思います。

2020年からは5~6年生で英語が教科化され、成績もつくということで、おそらくノートを使った授業が本格的に始まると予想しました。この点については、小学校の先生にもアンケートも取らせていただいて、授業においてノートを使用する可能性についても聞いてみたところ、6割近くの先生が何らかのノートを使うと思う、という回答でした。

(「小学校の先生向け文具に関するアンケート」n=312, 2019年4月コクヨ調べ)

まずは教科書に注目

Q:英習罫の真ん中を広くするという発想はどこからきたのでしょうか?

自分たちがつくるノートを新しく始まる英語の授業で快適に使ってもらおうと思ったら、どのような学びをどのように行うのかを知る必要がある、すなわち、教科書を確認しなくてはいけないと思いました。しかしながら、この時点ではまだ世の中には出ていなかった新しい英語の教科書を閲覧する術はありませんでした。

そこで目を付けたのは、今現在行われている「外国語学習」のテキストです。文科省が作成しているテキストを手に入れて、目を通しました。すると一つ発見がありました。

※見開きテキスト左側のページの4本のガイド罫線の幅に注目

ここ、見てください。「文字をなぞってみよう」というところで、ガイドになっている線の幅が違いますよね?何でだろう、と思ったのが最初のきっかけです。

初めてアルファベットを書く子供たちがバランスの良い字を書けるように

Q:最終的な罫線幅の間隔はどのようにして決めたのですか?

文科省のテキストを調べたり、社内の商品開発会議で企画内容の議論をしている間に2020年度版教科書の教科書検定が終わり、検定済みの教科書が各自治体の図書館で閲覧できるようになっていました。

早速、自分が暮らす自治体の図書館に行って、検定済み教科書をすべてチェックして、各教科書会社で採用している罫線の幅を確認しました。罫線幅の間隔を数字で公表されている会社もあれば、されていない会社もありましたが、されていない会社については私が実際に定規で間隔を計って調べました。

実は私、実際に教科書を見てみるまでは、おそらくそれまでの「外国語学習」の文科省テキストに倣って、大半の教科書が8:15:8で作られるだろうと予想していたのですが、いざ出来上がった教科書を見てみると、教科書会社で違っていました。

想定外の事態に少々驚きましたが、現状の1:1:1の幅で対応できるわずかな差については検討対象から除き、2:3:2と8:15:8の罫線幅に絞って、どちらがより子どもたちにとって書きやすいか、検討を重ねました。

最終的には、小学校教科書の最大手であり、現時点、中学校の英語教科書として最も多く使われている東京書籍さんの教科書に合わせて、2:3:2の罫線幅のノートを作ることに決めました。

清水家の長男(小5)による書き比べ。上が従来の1:1:1幅のノート、下が真ん中を広くした2:3:2幅のノート。小文字のeを見てみると、1:1:1幅のノートではやや窮屈そうな印象になります。
Q:そのほか工夫したポイントはありますか?

3本目の線の色については従来、赤を使っていたのですが、これも教科書に合わせて青くしました。今回は、小学生用に作ったノートなので、段数は8段と10段の2種類にして、初めてアルファベットを書く子どもたちにも使いやすいノートにしました。

Q:最後に一言お願いします

英習罫の罫線の幅を変えるというとてもとても地味な改良なので、罫線をパッと見ただけではなかなか分かりづらいかもしれませんが、小学生のお子さんにとっては書きやすく、バランスの良い字を書く訓練にもなる、そんなノートができたのではないかと自負しています。これから新学期に向けて、ノートを買いに行かれる際には、ぜひ、ノートの表紙の左上と右下に「まん中が広い」と書かれているノートを探してみてください!

記事提供元:コクヨ株式会社

https://www.kokuyo-st.co.jp/mag/Story/2020/03/000038.html

新着記事