2021年11月08日
by DCM 編集部 |
公開:2021.11.08 06:00 更新:2021.12.08 16:31
「家庭菜園の土作りにはどのような道具が必要なの?」
「家庭菜園の土作りの方法を知らない」
とお悩みのかたもいるでしょう。
家庭菜園でしっかり野菜を育てるためには、土作りが重要となってきます。
日頃から頑張ってお世話をしているにもかかわらず「野菜が育たない」という事態を避けるためにも、基本的な土作りの方法を理解しておきましょう。
そこで今回は、家庭菜園で土作りをおこなう際に必要な道具を紹介します。
また、土作りをおこなう手順をプランターと畑に分けて解説するため、これから家庭菜園を始めるかたはぜひ参考にしてください。
家庭菜園の野菜が健康に育つための土は、以下の3つの条件を満たさなければなりません。以下の条件を満たしていると、手触りがふかふかとした土になります。
【家庭菜園の野菜が育つ土の条件】
・水持ちがよい
・水はけがよい
・通気性がよい
これらの条件のいずれかを満たしていない場合、野菜の根が腐ってしまったり、うまく成長しなかったりします。条件が不足した場合に起こりうる問題を条件ごとに解説します。
【水持ちがよい土のメリット】
水持ちがよいと、土が乾燥せずに野菜に水分がいきわたるため成長を維持できます。これにより、枯れる心配も少なくなることがメリットです。
【水持ちが悪いと起こるデメリット】
水持ちが悪い場合は、どれだけ水を与えても土の粒に水が保たれないため、土が乾燥しやすくなります。それにより、根は十分な水を吸収できずに枯れてしまうのです。
水を頻繁にあげられる場合は、植物を育てられるでしょう。しかし、土の状態を確認して逐一水を与えることは手間がかかるため、水持ちがよい土を用意することをおすすめします。
【水はけがよい土のメリット】
水はけがよい土については、土に酸素の循環がいきわたり野菜が呼吸しやすい状態にできます。そのため、水はけがよい土にしておく必要があるのです。
【水はけが悪いときのデメリット】
水はけが悪い場合は、土に水が充満しているため、土の中の酸素が少なくなります。それにより、根は呼吸ができずに根腐れしてしまうのです。
水やりには水分補給のほかに、古い空気を押し出して排出するという役割があります。しかし、土の水はけが悪いと土の中が二酸化炭素ばかりになってしまうため、水はけのよい土を用意しましょう。
【通気性がよい土のメリット】
水はけがよい土と共通していますが、通気性がよいと酸素がいきわたりやすく成長によい影響があります。
【通気性が悪い土のデメリット】
通気性が悪い場合は、新しい空気が入ってこないため土の中の酸素が少ない状態です。それにより、根は十分に呼吸をおこなえないのです。
人間と同じように、植物も呼吸をおこないます。しかし、土の通気性が悪いと植物は呼吸をおこなえずに枯れてしまうため、通気性のよい土を用意しましょう。
ここでは、プランターで家庭菜園をする場合の土作りの手順を紹介します。
【プランターで家庭菜園をおこなう場合の土作りの手順】
①土に肥料を混ぜる
②土の酸度調整をおこなう
③プランターを準備する
④プランターに土を入れる
⑤土に種や苗を植えつける
これより順番に説明していきます。
トレイなどの容器に土や肥料を出して混ぜ合わせて、1週間ほど土を寝かせます。土1リットルに対して、20~30グラム程度の肥料が目安です。
なお、土選びが重要であることは前章で説明しましたが、混ぜ合わせる肥料選びも重要です。
野菜を育てるためには、肥料に野菜の成長に必要な三大要素である「チッ素」「カリ」「リン酸」が含まれていなければなりません。
栄養素によって野菜のどの部分の成長を促すか異なるため、育てる野菜に必要な栄養素が多く含まれている肥料を選びましょう。
葉の成長を促すならチッ素が多い肥料が最適です。また、根や茎の成長を促すならカリが多い肥料がよいでしょう。実の成長を促すならリン酸が多い肥料がおすすめです。
土を1週間ほど寝かせたら、次は土の酸度調整をおこないます。酸度調整とは、言葉通り、土の酸度を調整して野菜が育ちやすい土にすることです。
日本の雨が弱酸性であるなど、さまざまな理由から、石灰を撒いていない土は基本的に強酸性となっています。野菜の成長には、中性~弱酸性が適しているため、酸度調整を行う必要があります。
肥料を混ぜた土1リットルに対して、石灰を2~3グラム程度混ぜ合わせて、さらに1週間ほど寝かせます。
土を寝かせている際に、使用するプランターの準備をしましょう。野菜の成長に対応できるプランターを選ばないと、根詰まりできちんと育たない可能性があります。育てる野菜に、ふさわしいプランターを用意してください。
プランターには大きく分けると3つの大きさがあります。
【プランターの種類】
・浅型(深さ10~15センチ):根が長くない葉菜類に向いている
・中型(深さ15~30センチ):果菜類に向いている
・深型(深さ30センチ~):根が長く成長する根菜類に向いている
そして、プランターが用意出来たら、プランター内部に鉢底ネットを敷いてから鉢底石を敷き詰めてください。
石灰を混ぜた土を1週間ほど寝かせたら、次はプランターに土を入れていきます。プランターの縁から3センチ下あたりまでが目安です。
プランターに土を入れすぎると、茎に泥が跳ね返って茎が腐る場合があります。このため、土の入れすぎには注意してください。
プランターに土を入れたら、最後は土に種や苗を植えつける作業です。苗を植える場合は、苗が埋まる穴をスコップで作ってから植えます。種を植える場合は、指で作ったくぼみに植えて薄く土をかぶせましょう。
苗を深く植え過ぎると、茎が腐る可能性があります。必要以上に深く植え過ぎないようしてください。種の場合は、土をかぶせ過ぎると空気に触れることができずに発芽しないため、かぶせる土の量にも注意が必要です。
ここでは、畑で家庭菜園をおこなう場合、土作りに必要な道具を紹介します。畝作りと土壌改善に分けて紹介するため、家庭菜園をおこなう際の参考にしてください。
畑で畝を作る際に必要な道具を順に紹介していきます。
【クワ】
クワとは、土を耕したり、掘り起こしたりするときに使用する道具です。雑草を取り除くときにも使用します。
刃が長方形になっている「平鍬」や刃の先が3~4つに分かれている「備中鍬」などさまざまな形状のものがあります。そのなかでも、土を盛り上げやすく、畝作りに向いているのは平鍬です。
【レーキ】
レーキとは、土の表面をならしたり、草を集めたりするときに使用する道具です。先端が櫛のような形状をしています。
爪の長さや刃の本数など製品によってさまざまですが、刃の本数が12本のものが一般的です。
【ならし板】
ならし板とは、畝のサイドを固めたり、畝の表面をならしたりするときに使用する道具です。板に長さをメモにしておくと、株間を計るときに便利です。
【支柱・ひも】
家庭菜園では、畝を立てるときの目印として、支柱やひもを使用します。また、自立できない植物を支える際にも使用することが可能です。
畑で土壌改善をおこなう際に必要な道具を順に紹介していきます。
【石灰】
石灰とは、土の酸度を調整するときに使用するものです。性質はアルカリ性であり、雨で酸性になっている土を弱酸性に調整できます。
【堆肥や肥料】
堆肥や肥料は、野菜が育つための栄養となるものです。
堆肥とは落ち葉や家畜の糞などで有機物を腐熟させたもので、土に混ぜることで土壌を良くできます。また、肥料とは窒素やカリ・リン酸を含むもので、植物の成長を促します。
ここでは、畑で家庭菜園をおこなう場合の土作りの手順を紹介します。
【畑で家庭菜園をおこなう場合の土作りの手順】
①土の酸度調整をおこなう
②土に肥料を撒く
③畝を立てる
これより順番に説明していきます。
まずは畑の土が野菜の成長に適応する酸度か確認します。酸度計などを使用して、現在の畑の土の酸度がどの程度か計測しましょう。
また、土を触る方法でも家庭菜園に適切な土か判断できます。土を触ったときに、すぐにほぐれるような、ふわふわの土が理想です。理想の土の状態かは土を強く握りしめて確認しましょう。
土の酸度が中性~弱酸性でない場合、石灰を混ぜて酸度の調整をおこないます。畑の四隅に用意しておいた支柱を立てて、紐で囲むことで、これから石灰を撒く範囲を明確にします。
畑1平方メートルに対して、石灰100~200グラムを撒き、クワで土を深さ30センチほど掘り起こして混ぜましょう。混ぜ終わったら、この状態で1週間ほど寝かせます。
石灰を撒いてから、土を1週間ほど寝かせたら、次は肥料を撒いていきます。畑1平方メートルに対して、堆肥は1~2キログラム程度、肥料は100~200グラム程度加えてください。
肥料を撒いたら、最後は畝を立てていきます。畝とは、種や苗を植えるために盛り上げた土の部分です。
クワで土を深さ30センチ掘り起こして、畝を立てていきます。畝は高さ15センチ・横幅80センチ程度を目安にしてください。
そして、畝を立ててから1週間ほど寝かせると、種や苗が植えられる状態になります。
ここでは、家庭菜園の土に生えてくる雑草の対処法を紹介します。生えてきた雑草を放置していると、野菜に適切な日光が当たらなかったり、野菜が病気になったりするので必ず雑草は取り除く必要があります。
しかし、雑草が生える度に抜く手間が気になるかたもいるでしょう。そんなかたには、マルチフィルムの利用がおすすめです。
マルチフィルムとは、土の上にかぶせて使用するフィルムで、雑草の防止以外にもさまざまな効果を期待できます。
【マルチフィルムの効果】
・雑草を防止できる
・水持ちがよくなる
・適切な温度に保たれる
・肥料の流出を防止する
・病気を予防できる
雑草を完全になくせるわけではありませんが、雑草を処理する手間を大幅に削減することが可能です。
家庭菜園をおこなう上での注意点を紹介します。主な注意点は、以下の2つです。
【家庭菜園をおこなう上での注意点】
・土作りをおこなう時期を確認しておく
・プランターでの土作りに必要な道具を揃えておく
これより順番に説明していきます。
家庭菜園をおこなうのであれば、必ず土作りをおこなう時期を確認しておきましょう。
土作りは1日で完成するものではありません。土に種や苗を植えるときまでに、土作りを完成させる必要があるため、種や苗を植える予定日から逆算して土作りを始めなければならないのです。
土作りの手順には、土を中和する作業が2週間ほど含まれます。そのほかにも、土を掘り起こしたり、小石を取り除いたりと工程は多くあります。
種や苗を植える予定日よりも1ヶ月程度前から土作りを始めることがおすすめです。野菜の植え付け時期に遅れないためにも、きちんとスケジュールを確認しておきましょう。
家庭菜園には、プランターを使用する方法と畑でおこなう方法があります。
プランターを使用する際に必要な道具は、畑で家庭菜園をおこなう場合と異なるため、この章で確認しておきましょう。プランターで家庭菜園をおこなう場合に必要な道具は以下のとおりです。
【プランターでおこなう家庭菜園の土作りに必要な道具】
・プランター:野菜を育てる容器
・鉢底石:土の水はけをよくするために土の底に敷く石
・鉢底ネット:土漏れや虫の侵入を防ぐことを目的にプランター底部に敷くネット
・スコップ:土をすくう際に使用する道具
・土:種や苗を植えるための土
・肥料:野菜が育つための栄養となるもの
・石灰:土の酸度調整に使用するもの
畑で家庭菜園をおこなう場合と同じものもありますが、プランターや鉢底石・鉢底ネットなどは異なります。プランターで家庭菜園をおこなうのであれば、揃えておきましょう。
今回は、家庭菜園の土作りで必要な道具を紹介しました。家庭菜園はプランターか畑かでも、必要な道具や土作りの手順が異なります。
家庭菜園において重要な土作りの注意点を把握して、みなさんが育てたいと思っている野菜・植物に挑戦してみてください。
この記事で紹介した道具一覧・土作りの手順を参考にしていただき、家庭菜園の道具を充実させてみてはいかがでしょうか。
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