2021年05月03日
by ぺんてる株式会社 |
公開:2021.05.03 02:00 更新:2021.10.04 16:23
July 29, 2014
ぺんてるのシャープペン、替芯の開発・製造の心臓部である吉川工場。今回は、「オレンズ」の生み親である中央研究所 第7開発室長 丸山茂樹さん、主任専門職の古市明典さんにお話を伺った。
0.2mm芯のシャープペンは、「オレンズ」がはじめてではない。
1981年に「グラフペンシル」というモデルで0.2mmシャープペンが販売されていた。
ただこの「グラフペンシル」は製図用シャープペンということもあり、あくまでも限られた職種の方向けのものだった。そのことは、私も知っていた。
今回の取材で意外なお話しをお聞きした。
「グラフペンシル」からさかのぼること、さらに7年前の1973年に「ぺんてるシャープ スライド02(PS1042)」という0.2mm芯のシャープペンがあった。これは製図用ではなく、一般シャープペン。
しかも、1973年当時としてはかなり高額の1,200円という価格だった。
ぺんてるがこんなにも昔から0.2mmシャープペンを作っていたとは正直驚いた。
当時のカタログを見てみると、このシャープペンはワンノックするとスライドパイプがニョキッと出てきて、さらにノックをすることで書ける仕組みとなっていた。
しかも、「オレンズ」と同じようにワンノックのまま、つまり芯が隠れた状態で書くことができるようになっており、書き続けているとステンパイプがスムーズに引っ込んでいく機構まで備えていた。まさにオレンズの機構そのものだ。
しかしながら、時代が早すぎたようで、当時の市場では高価であったこと、そしてまだ一般の人たちの間では今ほど極細に関心がなかったため、姿を消すことになってしまった。
「オレンズ」は、この「スライド02」の機構をベースにしているのだ。
時代は移り変わり、学生の間では小さい文字でノートをキレイにとることが増えた。文具市場に0.2mmシャープペンを送り出す必然性が出てきた。当時に比べ価格もグッと抑えることにも成功した。
「オレンズ」最大の特徴は芯を送り出すステンパイプが、書いていくに従いだんだん内側に引っ込んでいきながら、常に芯を覆ってくれていることだ。この機構により0.2mmという細い芯であっても芯折れの心配をせず、いつもと同じように書いていける。
このステンパイプが引っ込む機構を持つシャープペンは、これまでもあるにはあった。ただそれらは使い終わった時に芯と一緒にステンパイプを収納するというのがメインの目的。ステンパイプが引っ込むという点では同じだが、構造的には似て非なるものだ。収納のためのステンパイプは引っ込める時に、かなりの負荷がかかる。
一方「オレンズ」はその負荷がまったくない。あくまでも自然に引っ込んでいく。それでいてパイプのぐらつきもない。
このスライドパイプは、私たちユーザーでも分解して簡単に見ることができる。
先金をクルクルと回して本体軸から取り外す。この時にちょっと注意が必要だ。その先金の内側からステンパイプのユニットが出てくる。
ふつうのシャープペンは、先金の中に完全に組み込まれているものが多い。これが0.2mm芯を支えている心臓部なので、慎重に扱う必要がある。
実はどんなシャープペンでも定期的なクリーニングが必要となる。「オレンズ」の場合は、分解した小さなステンパイプのユニットで行う。ノックボタンの中にある消しゴムを取り出すと、細いピンが付いている。これを「クリーナーピン」という。
ステンパイプに「クリーナーピン」を通して内側にたまった芯の細かなカスを掃除してあげる。
「オレンズ」の口金は、かなりユニークなフォルムをしている。
私はステンパイプの長さが短くなっても違和感がないようにという理由から、こうした独特のフォルムにしたのだと思っていた。
・「オレンズ」誕生の影には、41年も前に販売されていた「スライド02」の存在があった。
・ぺんてるには、永年にわたる0.2mm芯シャープペンの経験とノウハウがあったのだ。
・いつの日か0.1mm芯のシャープペンを手にできる日がくることを期待している。
「オレンズ」商品詳細ページ
http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/orenz/
提供元:ぺんてる株式会社
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