2020年12月19日

作業工具 ドライバー

by トラスコ中山株式会社

公開:2020.12.19 16:10 更新:2021.10.04 16:23

 

1.基本説明

ドライバーとは

ドライバーは小ネジや木ネジを締め付けたり取り外したりする工具です。

大きく分けて、軸がハンドルの内部に納まっている「普通型」と軸がハンドルを貫いて柄尻まで貫通している「貫通型」があります。

使うネジによって様々な種類があり、締め付けたり緩めたりするネジの名前の後ろに「ドライバー」と付けて、例えばプラスネジ用なら「プラスドライバー」、マイナスネジ用なら「マイナスドライバー」と呼ばれます。

「ドライバー」の他に「ネジ回し」あるいは「スクリュードライバー」と呼ぶ事があります。

2.各部の名称

ドライバーの構造

ドライバーは大きく分けて「柄(握り部)」と「軸」から構成されています。

先端部がネジの頭の溝にフィットする形状に設計されており、プラスやマイナスなどネジの頭の溝の形状に応じた種々の先端形状があります。

また、作業性が良くなるように工夫された様々なタイプがあります。

例えば、狭い作業環境に適するようにドライバー全体の長さを短くしたスタビータイプや、先端部がマグネット仕込みになってネジを確実にキャッチできるようにしたタイプ。

その他に、グリップ部は手にフィット感を与える素材にしたり、軸にスパナが掛けられるタイプなどもあります。

先端部

締め付けたりゆるめたりするねじの頭の部分の溝に応じて、ドライバーの先端部が「+」型のプラスドライバーや、「-」型のマイナスドライバーを使います。

また、ナットをまわすときに使用するボックスドライバーや、トルクス(ヘクサロビュラ)ねじなどの特殊形状ねじに対応した特殊ドライバーもあります。

海外では(+)形状を「phillips(フィリップス)」、(-)形状を「slit(スリット)」と呼びます。

軸形状

丸軸 / 軸断面が丸いスタンダードなドライバー軸です。

細軸 / JIS規格で定められた軸の径より細く仕上げたドライバーで、狭い箇所の作業に適しています。

六角部付 / スパナをかけて固いネジを緩めたり、強く締めたりできます。

刃先加工

ブラックポイント / 先端部にメッキをつけず、厚みのない黒染仕上を施していますので高精度です。

また強度面にもすぐれています。

クロームメッキ処理 / 非常に緻密なメッキ層で、さびが発生することがなく、いつまでも美しい光沢を保ち続けます。

黒クロームもあります。

ジョーズフィット / 刃先に高強度金属粒を特殊コーティング。

ドライバーの浮き上がりを防ぎます。

柄素材

樹脂柄 / 型を使って成型する「インジェクション成型」は、自由に造形できます。

また「押し出し成型」は、棒状に押し出した樹脂を切除して柄の形にします。

どちらも使い勝手・耐久性が特徴です。

ソフト樹脂柄 / 柄にソフトな樹脂を成型することにより、手にやさしくフィットし、油などでスリップせず、手の力がより刃先に伝わります。

木柄 / 柄に使われる木は、角材を日陰で一年間自然乾燥した物を一本一本厳選。

樹脂柄にはない木の温かみのある感触が得られます。

ノンスリップ / 油がついた手でもすべらない!柄にノンスリップ加工を施しています。

軸の取り付け方には「普通型」と「貫通型」があります。

普通形は軸が握り部の途中までしかありません。

一方、貫通形は軸が握り部を貫通した構造で、軸が握り部を貫通しています。

貫通形は錆びたねじや固着したねじなどを回す場合、軸の先端をねじに押し当て握り部の端面をハンマで叩き、ねじに衝撃を加えながら緩めるような使い方ができます。

軸には「丸軸」と「角軸」があります。

丸軸は軸を手で支えながら回す際に使いやすく、角軸はスパナなどを使用することにより、高いトルクで締め付けることができます。

柄尻

普通形 / 軸が柄の中で止まっているタイプです。

貫通形 / 軸が柄を貫通して、柄尻まで金属が出ているタイプです。

軸と尻金が一体になっているため堅牢です。

強く締めたネジ、錆び付いたネジにショックを与えて緩めるために使います。

3.種類と用途

普通ドライバー

一般作業、どんな場所にも対応可能で便利です。軸長50-200mm。

Yドライバー

ゲーム機などには特殊な形態のねじが使用されている場合があります。

一般的なプラスドライバーやマイナスドライバーでは締めたり緩めたりすることができません。

これは「いじり止めネジ」とも呼ばれ、設計者の意図で内部を開けられたくない場合に多く用いられます。

このネジは頭部を薄くできるため、携帯型ゲーム機やタブレット、ラップトップPCなど小型で精密な物に使われる傾向にあります。

水詮ドライバー

水詮ドライバーはマイナスドライバーを凄く幅広にしたような形をしていて水詮を回す際に使用します。

水詮を回すときはドライバーの他にウォーターポンププライヤーのハンドルの端を用いる事もありますが、8mm以上の大きなマイナス形状のネジを回す場合にはネジ溝を潰してしまう恐れがあるためこれを用います。

ストレーナー付き逆止弁や流量調整詮、止水詮などに対しこれを使用すれば、ねじの溝を傷めることなく回すことができます。

貫通ドライバー

一般作業、どんな場所にも対応でき便利です。貫通形、ハードな作業に最適。軸長50-200mm。

スタビードライバー

スペースの限られた狭いところの作業に便利です。軸長15-38mm。

細軸ドライバー

精密分野でのネジ締め付けに最適です。軸長50-200mm。

長軸ドライバー

奥深い箇所でのネジ締め付けに最適です。軸長200-450mm。

精密ドライバー

極めて精密な作業のネジ締め付けに最適。軸長20-150mm。

セラミック調整用ドライバー

オーディオ・コンピューター・通信機器等の電子部品調整用。高周波領域で最適な無誘導、非磁性。

ソケットドライバー

六角ボルト・ナット着脱用。軸長75-150mm。

六角・ボールポイントレンチ(ドライバー)

六角穴付きボルトを斜めからでも回す事ができます。

トルクス(ヘクサロビュラ・ヘックスローブ)ドライバー

六角星型のねじに使用します。

トルクの伝達性に優れており、六角穴付きネジやプラスネジに比べてネジ頭を小さく設計することができます。

「ヘクサロビュラ(6つの小葉)」 「ヘックスローブ(6つの耳たぶ)」という意味でJISやISOでは「ヘクサロビュラ」と呼ばれます。

磁気入りドライバー

軸に磁気を帯びさせたドライバーで、「磁気入り」「マグネット入り」「MG」などと表示されています。

鉄のねじであれば、磁力で先端部に吸い付け保持することができるので便利です。

その一方で、ハードディスクやレーダーなど磁性を嫌う作業には不向きです。

絶縁ドライバー

グリップと軸が特別な樹脂素材で絶縁されているドライバーです。

ドライバーには、何ボルトの電圧に耐えられるかが表示されています。

使用時には、絶縁手袋などの絶縁保護具を併用します。

電気工事だけでなく電気自動車やハイブリットカーの整備などにも用いられます。

軸差し替えドライバー

使用目的にあわせて軸を差し替えることができます。軸長50-100mm。

検電ドライバー

通電試験、電気の保守、点検検査などに用います。

ネオン管式とLED式があり、LED式は本体内に電池を内蔵しており通電試験の他に導通を調べる事もできます。

ネオン管式は電池を必要とせず構造が単純なため経年劣化が少なく耐久性に優れています。

軸を差し替えられるタイプもあります。

フレキシブルドライバー

窓際作業や狭くて普通のドライバーが入らない場所に。軸長165mm。

ラチェットドライバー

ハンドルを持ち変えずに手首の反復運動でネジの着脱ができます。

ペタラチェ

ヘッド部厚さ18mmの薄型ラチェット。

高精度ラチェットギアでしっかりとした締め付けができます。

オートマチック式ドライバー

軸の回りに、らせん状の溝(スパイラル溝と言います)がついています。

ビットをねじ頭に差し込み、バンドルを押しつけるだけで刃先が回って、ねじを締めることができます。

ラチェット機構付きドライバーと同じように、右・固定・左の3通りに切り替えることができます。

押し付けたバンドルが戻る時は、刃先は空回りします。

本体に組み込まれた駒とスパイラル溝が噛みあって回りますので、回り方も早く能率的です。

ビットはねじに合った大きさのものを、差し替えて使うようになっています。

T型ドライバー

T型のドライバーです。

このT型は力を掛けて押しやすく、回し易いので力を入れて緩めたい時にもねじを早く回したい時にも便利なドライバーです。

インパクトドライバー

ハンマーで叩くとその力が回転に変化しネジを締めたり緩めたりできます。

頭のつぶれたネジ、さび付いたネジのゆるめ作業に。

落下防止ワイヤー付

ワイヤー付で、高所作業でのドライバー落下事故を防ぎます。

4. 選び方

先端収まり(プラスドライバー)

ネジ頭の溝のサイズに合ったドライバーを使うことは非常に重要です。

ねじのサイズが分からないときは最初に大きめのドライバーを試し、次に、ひとつ下のサイズを試します。

ドライバーの先端部分まで含めてねじの頭の溝にピッタリ収まるのが正しい状態です。

ドライバー先端がねじにぴったりと合うことを確認して作業をはじめます。

サイズの小さなドライバーを使うと、ガタつきができてしまい、ねじの頭をなめてしまいます。

また、大きすぎるドライバーがうまく収まったように見えることもありますが、奥まで届いていないので接触面積が少なくなっています。

この場合もネジ頭の溝をなめやすいので注意が必要です。

品質の良いドライバーの先端に適正なサイズのねじを挿した場合、ねじを下向きにしても落ちないほど、ぴったりと収まります。

プラスドライバー

近年流通しているねじのほとんどはプラスねじですのでプラスドライバーは一番使用されるドライバーです。

プラスドライバーは、大きさを番号で呼び、0番から4番まであり、数字が大きくなるほどサイズも大きくなります。

ドライバーのサイズは先端の大きさと軸長(軸の付け根から先端までの長さ)で表します。

例えば先端が(+)2番で軸長が100ミリの場合は「(+)2×100」と表記します。

マイナスドライバー

マイナスドライバーは先端の刃幅(大きさ)をミリで呼びます。

サイズは先端の刃幅と軸長(軸の付け根から先端までの長さ)で表し、

例えば先端の刃幅が(-)6ミリで軸長が100ミリの場合は「(-)6×100」と表記します。

刃幅と軸長には規格があり、一般的には上表のとおり単に「マイナスドライバー軸長75ミリ」と言えば刃幅は5.5ミリである事まで含んで表す場合もあります。

5.使い方

正しい使い方

電気が流れているものには使用しないでください。

ハンマーなどで叩いて衝撃を与えないでください。

ネジのサイズに合ったものを使用してください。

たがねやバール、レバーのかわりに使用しないでください。

使用上の注意

ドライバーの先端部の損傷がひどいものはねじを壊してしまうおそれがあるので使用しないようにしましょう。

先端が欠けたものや変形したもの、すり減って丸くなったものは要注意です。

適合するネジを差してみて、大きくガタガタするドライバーは廃棄して買い換えましょう。

ネジを差して、ネジ側をつまんでドライバーをぶら下げるような格好で持っても抜け落ちないようなら完璧です。

提供元:株式会社ベッセル

https://www.vessel.co.jp/

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