2021年12月13日
by DCM 編集部 |
公開:2021.12.13 05:00 更新:2022.01.04 08:18
ナスの栽培には、いくつか注意すべきポイントがあります。手順を追ってみていけば、家庭菜園でナスを育てるのは、それほど難しいことはありません。
ナスは、うまく育てれば長く収穫を楽しめる、家庭菜園向きの野菜です。収穫期間が長いと、よりモチベーションも上がり、家庭菜園への愛着も深まるもの。初心者のかたも、おいしい秋ナスを収穫してみませんか。
今回は、家庭菜園でのナスの育て方を、失敗しないためのコツも交えながら紹介します。
ナスには、中長ナス、長ナス、丸ナス、水ナスの4種類があります。どれを選んでも、育て方はそんなに変わらないので、特徴を見て、好みのナスを育てましょう。
ここでは、4種類のナスから、3種類の特徴を紹介します。紹介していない長ナスは、中長ナスに似た特徴で、違いは、皮や実が柔らかいので、漬物にはやや不向きな点です。
ナスは、さまざまな料理に使えます。収穫した後、どのように食べるのか考えるのも家庭菜園の楽しみの1つです。
スーパーでよく見かける大きめ(12~15センチ)のナスである中長ナスは、ツヤのある濃黒紫色で長卵型な形が特徴です。全国的に人気が高く、千両、千両二号、早生大名、くろべえなど、品種も豊富にあります。
皮も果肉も適度に柔らかく、焼物、煮物、漬物など、料理全般に使える万能ナスです。
とくに加熱すると味が染みやすく、やわらかな食感になるので、煮物や焼きびたしにすると、より中長ナスのよさをいかせます。
昔から関西を中心によく食されている丸ナスは、丸くかわいらしい形のナスです。大きさは、ひと口サイズから10センチ以上のものまでと幅広く、皮の色は濃紺や濃紫色のものがあります。
杉谷丸ナスや高月丸ナスなど数多くの品種があるので、大きさや特徴から好みの丸ナスを選びましょう。中でも有名なのが賀茂ナスで、京料理などで重用されています。
丸ナスは、中長ナスより果肉が締まっていて、荷崩れしにくいのが特徴です。漬物にしても、しっかりとした歯ごたえを楽しめるほか、煮物やステーキとして、食べられています。
大阪泉州地方の特産品である水ナスは、長卵型や卵型をしていて、色は濃紫色。他のナスに比べ皮が薄く、握ると水分が滴るほどのみずみずしさが特徴です。
漬物にするのが一番おいしく、ぬか漬けにすると甘みとジューシーさが増し、ナス嫌いの人でも食べられるほどおいしくなります。
また、生食でもおいしく食べられる品種もあるのが特徴で、農家のかたは、暑いビニールハウスの中で乾いたのどを潤すため、収穫した生の水ナスにかぶりついていたそうです。
生で食べる際は、薄くスライスして塩コショウやオリーブオイルをかけ、生ハムを添えれば、おしゃれなイタリアン風の前菜になります。
プランターで育てられるという点も、ナスの栽培を家庭菜園初心者におすすめする理由です。
おいしいナスを収穫するには、いくつかのポイントを守る必要があります。プランターのサイズや置く場所、育ちやすい苗の選び方などです。
また、露地栽培をする際には、プランター栽培とは違った注意点もあるので、ご紹介します。
ナスをプランターで育てる際は、サイズに注意が必要です。できるだけ大きなプランターを用意しましょう。
深さは30センチほどで、1株あたり直径30センチほどの大きさを確保する必要があります。
ナスの生育適温は23~28度で、日当たりがよく、風通しのいい所を好みます。ベランダにプランターを置く場合は、東または南向きのベランダが理想的です。日当たりが悪い場合は、台上に置く高など工夫をしましょう。
また、室外機の側に置くのは避けたほうが無難です。室外機から出る不自然に強い風や熱風によって、土が乾燥し、ナスが弱る原因になります。
また、ナスは熱にあまり強くありません。置く場所の環境によっては、プランターの下にすのこなどを敷いて、熱対策をしましょう。ベランダがコンクリートの場合では、夏場の直射日光や西日によって床面の温度が50度前後の高温になることもあるので注意が必要です。
初心者は失敗しにくい苗から育てることをおすすめします。ナスは病気に弱いので、実生苗ではなく、病気に強い接ぎ木苗を購入しましょう。また、寒さで失敗することもあるので、ゴールデンウィークを過ぎてからの購入がおすすめです。
購入時には、徒長(枝や茎が必要以上に間延びすること)がなく、節の太い苗を選びます。
また、一番花のつぼみがついている苗を選ぶことも重要です。一番花が咲くタイミングで植え付けると、着果がよくなります。
その他には、葉の状態も苗を見極めるポイントです。葉の枚数が7~9枚ほどついていて、大きく厚みがあり、色味の濃いものを選びましょう。とくに双葉(子葉)が元気についている苗は良質な証拠です。
さらに、葉の裏側を見て葉脈がきれいではっきりしているかも判断材料になります。
苗半作、苗七分作、という言葉がある通り、苗選びをしっかりすれば、ナス栽培の半分は成功といえます。
ナスは連作障害を起こしやすい作物です。土壌の入れ替えができない、露地栽培で連続して育てる場合には、工夫が必要になります。
連作障害とは、特定の作物を同じ場所で長年栽培した際に、作物の生育が悪くなったり、時には枯れてしまったりする障害のことです。
連作障害を予防するには、畑をいくつかのゾーンに分けて、毎年植える場所をずらしていく輪作をしましょう。また、プランター栽培と露地栽培を年ごとで切り替える方法もあります。
接ぎ木苗は連作障害にも強いので、同じ場所に連続して植える場合は、実生苗ではなく接ぎ木苗を購入しましょう。
ナスの植え付けに最適な時期は、5月の上旬です。
植え付け、寒さ対策、更新剪定などやるべきことはたくさんありますが、1つずつ順を追って見ていけば、それほど難しいことはありません。
気をつけるべきポイントさえ押さえて、しっかり育てれば、秋ナスまで長い期間収穫を楽しめます。
植え付けの際はよく洗ったプランターを用意し、底に鉢底石を敷きます。鉢底石を入れる理由は排水性をよくするためで、排水性のよい鉢や培養土を使う場合は不要です。
次はプランターに培養土を入れます。ナスは根を深くまで伸ばすので、培養土の深さは20センチ以上にしましょう。
培養土を入れ終わったら苗のポットより少しだけ浅めに穴を掘り、穴にたっぷりと水を注ぎます。苗が定着しやすく、根の保護をするためです。
水が引いたら、苗を培養土と同じ高さか、少しだけ浅めに植えます。深く植えすぎると、葉が土に近くなり病気に感染しやすくなり、逆に浅く植えすぎると、根が露出し傷みやすくなるので注意が必要です。
最後に苗を植えた表土に培養土を寄せ集め、軽く手で押し定着させます。
植え付けが終わったら 、収穫まで無事に育つよう、ナスを守る対策が必要です。
まず、実の重さで、茎が折れてしまうのを防ぐために支柱を立てます。支柱の立てかたは、いろいろな方法がありますが、苗が倒れないように支えることが重要です。
支柱に苗を縛る場合は、成長することを加味して、少しゆとりを持たせて縛りましょう。
また、5月はナスにとっては、まだ寒い季節です。植え付け当初は寒さ対策が必要な場合もあります。
寒さ対策は簡単で、肥料袋などの底を抜き、苗の周りを囲うだけです。これを行灯と言い、大きなゴミ袋でも代用できます。袋に肥料がついていたり、葉に袋が接触したりすると、苗が傷む恐れがあるので注意しましょう。
おいしいと言われる秋ナスを楽しむには、7月下旬ごろから8月上旬ごろに、更新剪定をする必要があります。
更新剪定とは、夏の間に生い茂った葉や茎を切り除き、新しい葉や茎の成長を促進させることです。
ナスの収穫は、早ければ6月中旬ごろから可能です。しかし、収穫後そのまま放置すると、ナスが夏バテ(成り疲れ)を起こし、元気がなくなってしまいます。
そこで、枝を1/2~1/3を目安に大胆に切り落としていきます。元気な葉があれば、1から2枚ほど残すようにしましょう。
更新剪定を行った後は、根切りと追肥が必要です。株から10~20センチほど離した周囲を数か所、スコップを深く突き刺してザクザクと根を切っていきます。
そして、新しい根が元気に育つよう、根切りの上から追肥をしましょう。
可能であれば、土の表面に腐葉土やわらを敷くと、乾燥や泥はねを予防できます。
ナスは、丁寧に育てると、初心者であっても家庭菜園でしっかり収穫できます。しかも、更新剪定などを行うことで、9月の秋ナスの時期まで、長期間収穫できるのも、より楽しめるポイントです。
ナスは、調理法が豊富で、和洋中問わずさまざまな料理で使えます。しかも、家庭菜園で収穫した新鮮なナスを使って作る料理は格別でしょう。
収穫後の調理も楽しめるナスの栽培を、ぜひ家庭菜園ではじめてみませんか。
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