2021年07月18日
by DCM株式会社 |
公開:2021.07.18 10:10 更新:2021.10.04 16:23
2018.04.04
家事のアレコレ、健康、安全など暮らしの悩みは尽きないもの。そんなお悩みの解決法を、住生活ジャーナリストの藤原千秋さんにお聞きしました。
「先日ご近所で小火(ぼや)騒ぎがあったのですが、火災報知器のおかげで早く気がついて逃げることができたのだと聞きました。我が家だったらどうしただろう? と想像してゾッとしたのですが、実はうちに火災報知器があったかどうかさえも、恥ずかしながらよく分かっていません。そんな私はとりあえず何から火事対策をしたらいいのでしょうか?」
「実は、うちに火災報知器なんてあったんだっけ?」っていう方。ほんというと、意外に、少なくないんじゃないかと思うんです。良いことではありませんけど、大事に至る前に気がついて、ゾッとする機会があって良かったですね!
改正消防法という法律が2006年に施行されています。そこで「新築住宅」の居室(お部屋)や階段上などに「住宅用火災警報器(火災報知器の一種。主に一般住宅に設置されるもの)」を設置することが義務付けられました。つまり現在築11年より新しい家であれば、必ず、もともと設置されているのです。
寝室などのお部屋の天井に、直径10センチくらいの白い円盤がくっついていませんか? じゃなかったら壁に四角いものがくっついているはず。
ちなみに、「既存住宅」(2006年以前の建物)の場合でも、戸建住宅や、「自動火災報知設備(火災報知器の一種。一定面積以上の建物や店舗がある雑居ビルなどに設置されるもの)」のついていない共同住宅(アパート、マンションなど)では、2008年5月中〜2011年5月中まで(設置期限は市町村条例で設定)に設置することが義務付けられていました。つまりどんなに遅くともすでに7年前には「住宅用火災警報器」が「我が家」の天井ないしは壁に「設置されていたハズ」なんです。……えっ? あ、ありますよね? ありましたよね? ああ、なーんだ、これだったのか! はい、それなんです。
でも、大事なのは、あるだけじゃなくて、「ちゃんと、動くか?」です。
ところで、あらためて「住宅用火災警報器」とは、何かと言えば、それは火災により発生する煙を感知して、警報を発し、火災発生を報せてくれる機器のこと。
設置方式によって「露出型」と「埋込型」とがありますが、後付けでき、家具の配置などに応じてフレキシブルに移動もできる「露出型」のほうが一般的です。
火災の検知方式も、大きく「煙(検知)式」と「熱(検知)式」に分かれています。電源方式にも種類があり、電池交換の手間がない代わりに設置に資格の要る「AC100V式」と、電気配線工事が不要で設置も個人利用者が自分でできる「電池式」とがあります。
火災を検知した後の警報方式にも種類があり、「音声警報型」(火事です! などと言う)と「ブザー音型」、聴覚障害者のための「発光型」などがあります。動作方式にも、火災が起こった部屋だけで作動する「単独型」と、いずれかの警報器が作動したと同時に、他部屋の警報器まで一斉に鳴動する「連動型(ワイヤレス連動型)」があり、各家庭の状況や間取り、予算等によって、これらの方式の組み合わせを選択することになります。
ちなみに「住宅用火災警報器」はあくまで「警報器」なので、文字通り有事に「警報」を発するのが主な役割と効果です。火災時にここからシャワー水や、消火剤が出ると勘違いしている人がたまにいますが、出ません。
よくわかっていないながらも、いつの間にか我が家にも住宅用火災警報器、あったわ。という場合。そろそろ設置から10年が経過しますよね。さっそく動作確認をしましょう。
多くは本体に、「警報停止ボタン(点検ボタン)」があるので、そこを押します。「キュイーン、キュイーン」「正常です」や「火事です」など、機器により違いはありますが、それと分かるような警報音が出ます。何も音声が出なかったり、自動的に音声が止まらないような場合には電池が切れていたり、本体の電子部品が劣化している可能性があります。本体の交換、電池の交換をすみやかに行いましょう。
さて「実は、うちには住宅用火災警報器、無かった……」という場合ですが、こちらもすみやかに購入、設置しましょうね。「露出型」なら本体はホームセンターや電器店、ガス事業者などから簡単に購入することができますし、価格も「単独型」なら1個2,000円かからない程度と、想像しているよりも安価なのではないかと思います。
地震災害など、もしもの災害対策は頭の中にあれども、もしもはもしも……と、後回しにしたくなる気持ちは誰しもあるものです。でも、地震はいつ来るかわからないものですが、火事の原因になる「火」は、いつも私たちの身の回りにあるもの。火災は、決して稀有な災害ではないんですよね。
ぜひ、「火災警報器の設置」から、火災対策、はじめてみてください。
【参考資料】
独立行政法人国民生活センター 住宅用火災警報器の点検をしましょう! -経年劣化や電池切れにより正しく作動しないことも-
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170907_2.pdf
住宅用の火災警報器。単独型ブザータイプで、音と光で火災を知らせます。スピーカーを使ったスイープ音(ビュービュ・・・)を採用。家電製品のブザー音(ピーピー・・・)と区別可能。音量は1mで70dB以上、電池寿命は約10年。台所などにおすすめ。
<プロフィール紹介>
藤原千秋
大手住宅メーカー勤務を経て、主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆。現在は企画、広告、商品開発アドバイザーなど多様な業務に携わる。TV「マツコの知らない世界」に1000個の掃除グッズを試した主婦として出演も。著・監修書に『この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典』など。
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